日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は1日、スロープレー撲滅へ、イエローカードを導入すると発表した。これまでプレーの遅い組への警告は口頭で伝えていたが、カードを提示してプレー時間の計測に入る。違反者の罰則は従来通り基本2罰打だが、世界でも例を見ないユニークで画期的な試みは、今日2日からのツアー開幕戦ダイキンオーキッドレディス(沖縄・琉球GC)から1シーズン、試験的に導入される。

 スロープレーとは、ゴルフ規則の表記は「不当の遅延」。LPGAの参考資料では、違反はペナルティーが1罰打だった09年の9件から、罰則が2罰打に強化された10、11年は各3件と減少傾向にある。しかしグレーのケースも含めれば撲滅にはほど遠いのが現状だ。そこでLPGAが、ゴルフ界初の措置をとった。疑いのある選手、組への警告を口頭のみから、イエローカード提示に切り替え、時間の計測に入る。

 LPGAの江間陽子競技委員長(53)は「全体に年々、プレーが遅くなっているが、選手から『言葉では警告かどうかわからない』という意見があった。外国人選手が増えて、言葉の問題もあるので」と導入理由を説明した。運用は当面、今季だけのテストケース。とはいえ、まさに一目瞭然、問答無用の措置となる。

 選手たちの反応はさまざまだった。通算3度の罰則を受けている金田久美子は「出されたら、ドキッとする。何枚出されるんだろう。黄色が嫌いになっちゃう」。スピードアップに向け、既にパットのルーティンの簡略化などに努めているという。昨年9月のマンシングウェア東海2日目に生涯初のペナルティーを受けた横峯さくらは「う~ん、決まったことなので、従ってやるだけです」と微妙な表情を浮かべた。

 一方、スムーズで迅速なプレーに定評がある不動裕理は言う。「言葉もカードも一緒ですよ。でも、言い訳できなくなるし、いいことだと思います」。メンタル面がプレーに大きな影響を与えるゴルフ。プレーが遅めの選手には、戦々恐々のシーズンが幕を開ける。【加藤裕一】

 ◆スロープレーと罰則

 LPGAの場合、スロープレーの違反にホールアウト後「2罰打」を科す。同一ラウンド中に2回目の違反があればさらに2罰打、3回目は失格となる。

 <警告>(1)前組との間隔が14分以上開いた場合(2)パー4でティーグラウンドに立ったときに前組がホールアウトしていた場合は、遅れを取り戻すまで計測を行う。(1)、(2)以外でも著しく遅い競技者は警告を与える。

 <計測に含む時間>自分の球のある位置に着き、プレー可能となった時点から、本人かキャディーがホール位置確認、距離計測などをする時間、グリーンでラインを読む時間も含む。

 <違反基準>(1)1打の所要秒数が60秒以上(2)1打30秒×タップインを除くそのホールの打数+11秒以上。4打なら131秒以上(30秒×4にプラス11秒以上)

 (以上、ゴルフ規則6-7注2「プレーのペース」より要約・抜粋)