<女子ゴルフ:ダイキンオーキッドレディス>◇初日◇2日◇沖縄・琉球GC(6439ヤード、パー72)◇賞金総額8000万円(優勝1440万円)

 注目の新人・工藤遥加(19=フリー)がツアー本格デビュー1年目の開幕初日、1アンダーの71で首位に3打差25位と好発進した。後半13番のダブルボギーを終盤の2バーディーで巻き返し、ツアー通算5戦&11ラウンド目で初のアンダーパーを記録。元プロ野球投手の父工藤公康氏(48=日刊スポーツ評論家)譲りの勝負強さを見せつけた。ご当地選手でホステスプロの諸見里しのぶ(25=ダイキン工業)ら6人が68で首位、横峯さくら(26)上田桃子(25)は25位につけた。

 プロの見せ場に力が入った。最終18番。工藤は両肩の力を必死で抜いて、1・5メートルのバーディーパットを決めた。グリーン脇のスタンドから歓声が湧く。左手でガッツポーズが出た。13番パー3のダブルボギーを、15番に続く2個目のバーディーで取り返した。ツアー出場5戦目で、初のアンダーパーとなる71。しかも首位と3打差だ。

 「めちゃくちゃ緊張しましたよ。プロなので、決めたいじゃないですか」と工藤がおどけて笑った。

 「工藤公康の娘」は、注目度が高い。昨年12月の最終クオリファイングトーナメント(QT)81位で、今季ツアーフル参戦の権利獲得に失敗した。今大会は昨年12月の新人戦加賀電子杯の優勝で出場権を得たが、今後は主催者推薦出場でツアー規定上限8試合を使えることは間違いない。既に次戦ヨコハマタイヤPRGR杯(9日開幕、高知・土佐CC)は決まり、4戦目ヤマハレディース(30日開幕、静岡・葛城GC)も内定した。

 ただし“七光”は本意じゃない。今季の目標は「QT上位で来季ツアー出場権獲得」と「ステップアップツアー2勝」。QT81位の資格で、勝てばツアー4戦の出場権を得られる下部ツアーに狙いを定める。

 今季から野球評論家やスポーツキャスターとして活躍する父とは2月26日、練習ラウンドをともにしたが、その後は電話やメールのやりとりもなし。1月に左肩を痛めたが、対処法も聞かなかった。「聞きたいけど、聞きたくないんです。父も最初は自分で考えて、自分のやり方を見つけたんだし、私も自分で考えてやっていきたいから」という。

 今大会、頼りにするのは自分と、仲間の力だけだ。キャディーの山口春歌さん(20)は、昨年のプロテストで知り合った。沖縄生まれ、開催コースで研修生の経験もある。「ダブルはるか」(山口さん)で意気投合した。この日はダブルボギー直後「大丈夫。次しっかりパーをとろうよ」と背中を押され、終盤の2バーディーに結びつけた。

 「工藤公康の娘」から「プロゴルファー工藤遥加」へ。「まず父の名前が出るのは仕方ない。でも、プロとして、早く自立したいですから」。171センチ、65キロの体に秘めた名投手のDNAと、勝負強さをフル回転させて、自立を懸けたシーズンが開幕した。【加藤裕一】

 ◆父工藤公康氏のコメント「今日は見ていないけど、いろんな人に支えられて今がある。お世話になったたくさんの人たちへの思いを忘れず、思いきって自分のベストを尽くしてほしい」<工藤遥加アラカルト>

 ◆生まれ

 1992年(平4)11月18日、東京都。サイズは171センチ、65キロ。

 ◆ゴルフ歴

 父公康氏の影響で小4から始めたが、当時はアイスホッケーやバスケットボールに夢中。しかし「お父さんと会話がしたかった」とインターナショナルスクールだった中学時代に80台を出す。通信制の日出学園高に入り、本格的に没頭する。10年の日刊アマ全日本レディースに優勝。同年、初出場の日本女子オープンで33位。昨年のプロテストは最終日66を出し、落選圏から巻き返して9位で一発合格。

 ◆厳しいしつけ

 アマチュア時代、横浜の自宅から練習場にはキャディーバッグを担ぎ、電車で通った。当時、レッスンしたツアー通算8勝の高又順は「あの子はいい!」と絶賛。

 ◆飛距離

 ドライバーで約260ヤード。得意クラブは7番アイアン、PW、SW、パター。

 ◆家族

 両親と兄、妹2人、弟の7人家族。