<男子ゴルフ:東建ホームメイト杯>◇2日目◇13日◇三重・東建多度CC(7081ヤード、パー71)◇賞金総額1億3000万円(優勝2600万円)

 初日首位のプロ7年目、額賀辰徳(28=フリー)が通算9アンダーでトップを守った。4番パー5で今季初イーグルを奪うなど69をマークした。平均飛距離300ヤードを超えるツアー屈指の飛ばし屋が、米国で「脱力スイング」を習得。身長183センチと体格も世界クラスの大器に安定感が備わり、初優勝へ前進した。

 持ち味のドライバーがさく裂した。4番パー5。額賀は豪快に300ヤード超えのショットを放つと、残り230ヤードの第2打も3メートルにつけて今季初イーグルを奪った。「初日は同じホールで同じ距離を決め損ねていたので、気合入りました」。69で2日続けて首位を守り、大きな体を揺すって笑った。

 待望の大器が、才能を発揮し始めた。20歳の石川や26歳池田ら若手が台頭してきた男子ゴルフ界だが、身長180センチを超える大型のホープは数少ない。「マスターズを見てるとみんな体がいいし、余裕で飛ばしてくる。日本にも190センチくらいある、生きのいい若手が3人くらいおらんかな?」。開幕前にそうつぶやいていた尾崎将の嘆きを、183センチの額賀なら吹き消すことができる。09、10年と2年連続で平均飛距離1位。今週も2日間平均で308ヤード飛ばし、2位バーンズに約15ヤードの大差をつけている。

 これまでは、飛びすぎて球を操作できなかったが、2年前から今田竜二と同じリチャード・エイブル氏に師事。今年は2月から1カ月米国に渡り、力を抜いてゆっくり振るスイングを覚えた。球が沈みやすい洋芝で練習を続けたことで、アイアンも低弾道で安定。「狙った距離が打てるし、球のバラつきもない」。練習をともにした今田から「今年は大丈夫だろう」と太鼓判を押されたことも自信になった。

 「辰徳」の名前は、両親が地元の鹿島神宮でつけてもらったという。スポーツ好きで、サッカーは鹿島、野球はやはり巨人のファンだ。「原監督とグータッチしたい。まさかこの位置で3日目を迎えるとは思わなかったけど、明日は『まだ3日目、もう1日ある』と思って回りたい」。有名になって同名の原監督と交流するためにも、最後まで首位の座は譲れない。【木村有三】

 ◆額賀辰徳(ぬかが・たつのり)1984年(昭59)3月28日、茨城県鹿嶋市生まれ。14歳でゴルフを始める。中央学院大で、現在石川遼のキャディーを務める加藤大幸氏と同級生。04年日本オープンローアマ獲得。06年プロ転向。09年初シードも10年に喪失。昨年のチャレンジツアー賞金王の資格で今季ツアーに出場。ツアー最高位は09年マイナビABC5位。家族は友美夫人(28)と長男智也くん(2)。183センチ、78キロ。

 ◆身長180センチ以上の主な若手

 昨季初優勝した26歳諸藤将次は180センチ、65キロ。4年連続シード獲得の29歳上井邦浩は180センチ、78キロ。過去3度シード入りしている25歳津曲(つまがり)泰弦は187センチ、92キロ。アマチュアでは2年連続マスターズ出場の20歳松山英樹が180センチ、75キロ。一方、20歳石川遼は175センチ、72キロ。26歳池田勇太は176センチ、76キロ。ちなみに69歳青木功、65歳尾崎将司、57歳中嶋常幸の「AON」はすべて180センチ以上と体格に恵まれている。