<女子ゴルフ:西陣レディス>◇最終日◇15日◇熊本空港CC(6482ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 プロ6年目の若林舞衣子(23=ヨネックス)が、4年ぶりのツアー通算2勝目を飾った。首位スタートから4バーディー、1ボギーの69で通算7アンダー。昨季賞金ランク53位で“最下位シード”まで落ち込み、岡本綾子門下入りし、独り立ちを決めたシーズンに、6戦目で早くも結果を出した。

 ピンまで残り68ヤード。最終18番パー5の第3打、若林にはサンドウエッジのフルショットでピッタリだが…。「グリーンが硬い。手前から転がして」。抑えめのショットはイメージ通り、ピン手前1・5メートルへ。理想的なバーディーで、4年ぶりの優勝を締めくくった。

 「やっと終わった感じでした。我慢がたくさんあったので」。16番のリーダーボードは見なかった。18番グリーンで初めて1打差首位にいるのを知った。自分の世界に没頭した。

 昨季は賞金ランク53位。08年SANKYOレディース以来のツアー優勝どころか、09年から保持する賞金シードを“どんじり”で守るのが精いっぱい。1年間、悩んだ末、11月に岡本綾子に弟子入りを直訴した。

 師匠に頼るだけではダメだ。再出発のテーマに「自立」を掲げた。昨季まで毎試合いた父正喜さん(62)も、今季は1度も応援に来ていない。頼ってきた帯同キャディーも使わなくなった。今大会はハウスキャディーの村上育子さん(30)。プロのバッグを初めて担ぐ“ルーキー”を相棒に、残り距離を歩測、クラブを選び、ラインを読む。全部、自分で決めた。

 最終日、自分以外に頼ったものは、師匠の言葉だけだ。前日夜に電話した。「スイング、どう?」と問われ「立ちにくいホールとかあって…」と答えると「ゴルフって、そうやって覚えていくものなのよ」-。不安や恐れがよぎると、1分弱の会話を思い出して、気持ちを立て直した。

 若林は「今回はかなり運が味方をしてくれた。まだまだ成長段階。次はもっと腕を磨いて勝ちたい」という。もっと学んで、強くなりたい。教えを自分のものにして勝ちたい。「いいも、悪いも、自分がやることだからね」-。それも師匠の金言だ。【加藤裕一】

 ◆若林舞衣子(わかばやし・まいこ)1988年(昭63)6月9日、新潟県生まれ。ゴルフは11歳から。開志学園高2年の05年、世界ジュニアで団体、個人(15~17歳)2冠。06年日本女子オープン6位でローアマ。07年プロテスト合格。08年SANKYOレディースでツアー初優勝、同年に賞金ランク21位で初シード獲得。165センチ、62キロ。