<男子ゴルフ:中日クラウンズ>◇初日◇26日◇愛知・名古屋GC和合C(6545ヤード、パー70)◇賞金総額1億2000万円(優勝2400万円)

 山下和宏(38=ザ・サイプレスGC)が5バーディー、2ボギーの67をマークし、首位と2打差の3アンダー5位につけた。尾崎将司(55)石川遼(20)の2大スターと同組でプレー。特に石川には10年大会最終日で同組の際、目の前で「58」を見せつけられたこともあるが、今回は2人を差し置いて主役のプレーをみせた。石川は4バーディー、3ボギーの69で11位。杉並学院高2年の伊藤誠道(16)も同じく69の11位と好スタートを切った。

 主役は王でも、王子でもなかった。8番パー4。山下は残り180ヤード近い第2打を、6番アイアンでピン横30センチにピタリとつけ、スコアを3アンダーに伸ばすバーディーを挙げた。強い風雨が選手たちを苦しめた時間帯に、悠々とスコアを伸ばし続けた。

 オフに重点的に強化したショットは絶好調。長尺、短尺さまざまなモデルを試してきたパターも、37インチの中尺モデルがここにきてフィット。石川のパットを「カップの真ん中にスーッと吸い込まれるようで、見ていて気持ちがいいパッティング」と絶賛しながら、24パットの好記録で難しい和合のグリーンを攻略した。

 同組の尾崎は、かつてプロを志すきっかけになった憧れの存在。石川には2年前の「58」を含め、同組で優勝を2度もみせられた。「王子とキングに挟まれて、最初はフワフワした気分だったけど、何とか落ち着くことができた」と山下。内容、結果で2人を上回り、主役の座をさらった。

 15歳でゴルフを始め、24歳でプロ転向。初の賞金シード獲得に10年を要した。時間をかけた分、昨年のツアー選手権最終日を首位で迎えるなど、メジャータイトルに手をかけるほどの実力が身についた。名選手が歴代王者に名を連ねる中日クラウンズ制覇で、山下がついにスターダムにのし上がる。【塩畑大輔】