<男子ゴルフ:日本プロ日清カップ>◇最終日◇13日◇栃木・烏山城CC(7193ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 谷口徹(44=フリー)が通算4アンダー284で、初日からの首位を守る「完全優勝」を果たした。ツアー通算18勝目、国内メジャー4勝目、大会2勝目。最終ラウンドは1バーディー、2ボギーの73とスコアを落とし、終盤は2位の深堀圭一郎(43)に1打差にまで迫られた。だが難しい2段グリーンの18番パー4をパーでしのぎ、しぶとく逃げ切った。2年ぶりツアー2勝目へ、一時は首位に並んだ薗田峻輔(22)は、終盤崩れて通算イーブンパーの3位に終わった。

 本丸を守る堀のようなグリーンの段差を、熟練のパットが攻略した。18番パー4。谷口の3打目は、2段グリーン上段から下段への15メートルの難しいパットとなった。3パットのボギーなら、深堀とのプレーオフ。だがタッチがピタリと合ったパットは、カップ左30センチにピタリと止まった。

 これで勝負は決まった。まだ最終パットを残していたが、大歓声に応えるように、ガッツポーズを3度重ねた。「去年の日本プロは欠席したようなもんやから(途中棄権は)記憶にない。僕の中では2連覇ですね」とニヤリと笑った。

 勝負を分けた18番グリーン攻略には、実は「ウラ」があった。前日の第3ラウンド終了後、何げなく18番の近くを通りかかった谷口は、グリーン上で最終日のカップ位置を検討する競技委員の姿を見かけた。

 「上の段から下の段に、何度もボールを転がしているのを見たから、どれくらいまでいくのかはイメージできた」。トップクラスのパット技術とツアー18勝の勝負強さに「情報」が加われば、まさに鬼に金棒。自信を持って、難しいパットを打つことができた。

 オフには宮崎で、男女若手選手に請われ、40日間の合同合宿を行った。「こんなに打ち込んだのは初めて。松村道央なんか先に帰りおった」と言う。練習の成果が出ているかと思えば「上田桃子、藤本麻子も来るから、見ているだけとはいかずついつい打ちすぎた。おかげで調子が狂った。練習は期待を裏切る、やね」と冗談とも本気ともつかないように首を振る。

 実際、今大会中もショットの不調を訴えていたが、最終日のラウンド中に修正。「ショットさえ良ければ、僕は薗田くんなんかとはショートゲームのレベルがぜんぜん違いますから(笑い)」。平均打数38・00の難しい後半9ホールを、すべてパーでしのぎきった。

 賞金ランクも2位に浮上。「■相文がいなくなったらオレしかいないよ。賞金王は02、07年と5年周期なので、年始から今年は賞金王と思っていた」と最後も強気の宣言で締めた。【塩畑大輔】※■は裏の里が非

 ◆国内メジャー通算勝利数

 谷口は日本オープン2回、日本プロ2回で通算4勝。村上隆、伊沢利光、丸山茂樹と並び歴代6位に浮上した。歴代最多は尾崎将司の16勝。現在ツアーにフル参戦している選手の中では、片山晋呉が歴代4位の7勝を挙げている。