<男子ゴルフ:日本プロ選手権日清カップ>◇第1日◇16日◇千葉・総武CC総武C(7327ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 プロ4戦目の松山英樹(21=東北福祉大4年)が、驚異の「V字回復」をみせた。この日朝の練習まで「絶不調」だったが、本番では4バーディー、ボギーなしの4アンダー67で回り、首位に1打差の2位発進。プロ2戦目の最速Vに続き、4戦目での国内メジャー制覇最速記録を狙う。

 スタート前の練習グリーンで、松山と東北福祉大の阿部靖彦監督(50)が話し合っていた。打球練習のみだった前日15日から、松山は「絶不調」と落ち込んでいた。阿部監督から「寝れば直る」と言われたが、一夜明けたこの日朝の練習でも「全然当たらない」(松山)と不調は続いていた。

 ところがどうだ。10番スタートで3メートルのパーパットが残るピンチを迎えたが、しっかりと入れると「うまく流れに乗れた」。さらに14番パー5の第1打を打った際に、背中に激痛が走るアクシデントに襲われる。そのホールをパーで逃れ、15番のティーグラウンドで顔をしかめながら痛み止めを飲んだ。

 しかし、そんなピンチも何事もなかったようにしのいだ。17番パー5は第3打をベタピンのバーディー。アウトにターンして3、8番とバーディーを重ねて4アンダー67で、国内メジャー初戦を首位に1打差の2位で発進した。

 松山は「いい出足。練習では全然当たらなかったのに、コースでは当たりましたね。自分でもびっくり」。4月18日のプロ転向初戦から10位、優勝、2位と抜群の安定感を誇ってきた21歳でさえ、疲労感は蓄積されている。だが練習で絶不調でも本番で結果を出し、背中の激痛に打ち勝った。

 スタート前に「いつも調子いいわけない。メジャーなんだから難しいし、3バーディー、3ボギーのイーブンでいい。2日目から2アンダー、3日目3アンダー、最終日4アンダーなら優勝するよ。気楽にな」とアドバイスしていた阿部監督も驚くばかり。「あいつ、イーブンでいいって言ったのに4アンダーも出しやがった」。大学の試合でも阿部監督が、不調に陥った松山を気楽にさせる。プロになっても、同じ儀式が行われていた。

 プロ2戦目で最速記録の優勝を遂げたばかり。4戦目でメジャー優勝すればこれも新記録になる。「しっくりしないところはある。ただ(第1日は)スコアをつくることが大事。いいスタートが切れたので、上位争いできたらいい」。最終日の19日は阿部監督の51回目の誕生日。大物ルーキーが、またもド派手な結果を出すかもしれない。【町野直人】

 ◆国内メジャー最速優勝

 1985年のツアー制度施行後、プロ5戦目だった藤本佳則が、昨年の日本ツアー選手権シティバンク杯を制したのが最速。プロ4戦目の松山が日本プロを制すれば、新記録となる。