<男子ゴルフ:日本プロ選手権日清カップ>◇第3日◇18日◇千葉・総武CC総武C(7327ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)
松山英樹(21=東北福祉大)が「3つの壁」を乗り越え、史上最速となるプロ転向4戦目での国内メジャーVに王手をかけた。前日ボールを動かして2罰打を受けたショックを乗り越え、7バーディー、3ボギーの67をマーク。前戦の中日クラウンズでは、上がり5ホール6オーバーと大たたきした鬼門の第3日を乗り切り、2位に4打差の通算8アンダー205の単独首位に立った。第1日に痛めた背中、脇腹も完治。本来のスイングを取り戻し、初めての最終日首位スタートから優勝を狙う。
力強いガッツポーズが、精神的スランプからの完全復活を告げていた。18番パー4。松山はグリーン奥のカラーから、5メートルのパットをねじ込み、この日初めて右拳を突き上げた。「バーディー取っても、すぐボギーが来るコースなので、ずっとガッツポーズできなかった。18番は最後だったし、難しい下りフックラインが入ったので」。2位河野との差を4打に広げて、最終ラウンドに進んだ。
実はスタート直前、プロ転向後最大のピンチを迎えていた。前日の15番パー4で、動いてしまったボールをリプレースせずに打ってしまう違反で、2罰打を受けた。「昨日の夜から、なんで気づかずに打ってしまったんだろう、ってずっと思ってました」。この日の朝になっても吹っ切れず、ついに進藤キャディーに「テンションが上がらない」と打ち明けた。
これを仙台で伝え聞いた東北福祉大ゴルフ部の阿部監督は、総監督を務める同大野球部のリーグ戦行きを見合わせ、急きょ前日までいた総武CCに舞い戻った。そしてスタート前の松山に「昨日は昨日。ルールにのっとって罰も受けたのだから、もう気にするな。あと2日ある。ゴルフは4日間だと自分で言っていただろう?」と言い含めた。
1番パー4で実質今大会初となるボギー。「ちょっと動揺というか、今日もたたいてしまうんじゃないかと思いました」。しかし絶好調のパターが松山を救った。2番パー4で3メートルのパットを沈め連続ボギーを回避。続く3番パー3では3メートルのバーディーパットを決め、流れに乗った。
もう1つのトラウマも吹っ切った。10番で2つ目のボギーをたたくと「今回も同じことをやってしまうのかと…」。前戦の中日クラウンズでは、首位だった第3日の上がり5ホールで、6つスコアを落とす大ブレーキ。最終日に巻き返しながら、松村道央に1打及ばず2位に終わっていた。
しかし強い向かい風が吹く難関の12番パー3で、この日2人しか出なかったバーディー。「意外と普通に振れた」と悪いイメージも消え去った。第1日に背中から脇腹にかけて走った強い痛みの影響で、前日まではスイングに力感を欠いた印象だった。だがこの日は18番のドライバーで332ヤードを稼ぐなど、パワフルなショットも戻った。
17番パー5では第1打を右の林に打ち込み、前日に2罰打を受けたのと同様の状況になった。「ボールから離れた場所にソール(接地)しました。昨日、細心の注意を払わないといけないと感じたので。思い出してできたのが良かった」。嫌な思い出も、よい教訓へと昇華した。あとは最終日、首位からの独走Vを目指すだけだ。【塩畑大輔】
◆松山の2罰打
第2ラウンドの15番パー4で、松山は第1打を左の林に打ち込んだ。ここからグリーン横に運んでパーセーブしたが、この第2打を打つ直前にソール(クラブヘッドを地面につける)した際、ボールが少しだけクラブのフェース側に動いた。グリーン方向を見ていた松山は気づかなかったが、中継映像を見ていた関係者が指摘。「動かしてしまったボールをリプレースせず打った」という違反で2罰打を受けることになった。もしボールの動きに気づき、元の位置に戻してから打てば、1罰打で済んでいた。
◆国内メジャー最速優勝
1985年のツアー制度施行後、プロ5戦目だった藤本佳則が、昨年の日本ツアー選手権を制したのが最速。プロ4戦目の松山が日本プロを制すれば、新記録となる。

