<男子ゴルフ:全英オープン>◇最終日◇21日◇英国・ミュアフィールド(7192ヤード、パー71)◇賞金総額800万ドル(約8億円)優勝賞金140万5890ドル(約1億4100万円)

 スーパールーキー松山英樹(21=東北福祉大)が、日本男子初のメジャー2大会連続トップ10を決めた。首位と6打差11位スタートの最終日、2バーディー、1ボギーの70で通算2オーバーの6位に入った。日本男子初のメジャー優勝は逃したが、スロープレーによる1罰打を食った第3ラウンドから、今大会初のアンダーパーで立て直した。

 厳しい戦いから解放され、松山がほっとした笑みを浮かべた。初の全英オープンで、ウッズら世界スターと並んで通算2オーバーの6位と大健闘した。夢のメジャー制覇は逃したが、6月の全米オープン10位に続き、日本男子初となるメジャー2大会連続トップ10入りだ。

 「4日間、ショットが最後まで良かったのはすごく収穫になった。パットも昨日の途中からストロークが良くなった。今日はちょっと、入らなかったですけど」

 優勝争いの最終日に今大会初のアンダーパー、70をマークした。「通算2オーバーという結果には満足しているが、もっと上位にいきたい気持ちが強い。最後の17、18番のチャンスを入れればプレーオフの可能性もあるかなと思った」というが、スーパールーキーの底力を見せつけた。

 終盤に迫力満点のプレーを見せた。17番パー5。第1打をドライバーでフェアウエーへ。3番ウッドの第2打は左セミラフ。ピンまで約60ヤードのアプローチを3メートルへ。バーディートライは、惜しくもカップに嫌われた。

 最終18番パー4は第1打を3番ウッドで、フェアウエーへ。追い風、残り170ヤードの第2打は7番アイアン。ピン筋で飛んだショットはピン前7メートルにキャリー、ピン奥7メートルについた。下りフックラインのバーディートライは、カップの10センチ前で止まった。

 前日の第3Rは、悪夢のような出来事があった。17番パー5の第1打を大きく左に曲げた。トラブルショットとなった第2打はリカバリーに成功したが、スロープレーで1罰打がついた。「なんでここで取られるのか、意味が分からなかった」と抗議したが、裁定は変わらなかった。ゴルフ規則にある「不当の遅延」はなかった。理不尽ともいえるペナルティーだった。

 最終日は気持ちを切り替え、悔しさをぶつけた。1番ホールで第2打地点に向かう途中、男性ギャラリーからヤジが飛んだ。「スピードアップ!

 マツヤマ!」。それに対して、なんと走りだすそぶりを見せて、ギャラリーを笑わせた。前夜に東北福祉大の阿部監督が「また有名になったな」と言うと「そうっすね」と笑って返した。気持ちの強さも並ではない。

 日本男子初のメジャー制覇こそ逃したが、世界最古のトーナメントで、リンクス特有のゴルフを肌で知った。「ここでいいプレーができて、すごく自信になった。これからもいろんな芝とかに対応できるよう、頑張っていきたい」。日本が、世界に誇るスーパールーキーがまた一回り、確かに大きくなった。【塩畑大輔】

 ◆日本人のメジャー・トップ10

 6月の全米オープンから松山が2連続で達成し、25回目。全英だけなら11回目。メジャー4大会で個人最多は中嶋常幸の6回、次いで青木功の5回、尾崎将司、丸山茂樹の3回。片山晋呉、松山の2回。松山は6人目の「複数回達成者」となった。<メジャー男子日本人最高位>

 ◆マスターズ

 4位(01年伊沢利光、09年片山晋呉)

 ◆全米オープン

 2位(80年青木功)

 ◆全英オープン

 4位(82年倉本昌弘)

 ◆全米プロ

 3位(88年中嶋常幸)

 ※女子では樋口久子(前日本女子プロ協会会長)が77年の全米女子プロで優勝。男子シニア(50歳以上)の井戸木鴻樹は今年5月の全米プロシニアを制した。