<男子ゴルフ:VanaH杯KBCオーガスタ>◇第3日◇8月31日◇福岡・芥屋GC(7150ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 待望の選手会長Vへ、池田勇太(27=日清食品)が8バーディー、1ボギーの猛チャージで、この日のベストスコア65をマーク。通算6アンダー、首位と3打差7位に急浮上した。コースでは選手会長として、プレーに加え、等身大パネル2枚でギャラリーにアピール。夜は酒豪としてネオン街へ…。今季初優勝へ、準備万端だ。首位は通算9アンダーの藤本佳則(23)ら。この日は前日サスペンデッドの第2ラウンド(R)の残りを実施。きょう1日の最終日は54ホール競技に短縮されて、第3Rを最終Rとして行う。

 怒りのバーディーフィニッシュだった。最終18番パー5。池田はドライバーの第1打を左の深いラフに打ち込んだ。第2打は残り248ヤード。フェアウエーに刻んでもおかしくない。しかし、手にしたのは3番ウッド。芝はバサッと宙に舞い、ボールはグリーン手前バンカー前のラフへ。アプローチも2・5メートルまでしか寄らなかったが、チャンスをしっかり決めた。

 「ライが悪かったんだけど、もうイケイケでいいやってね」。やけっぱちの2オン狙い。17番パー3のボギーにむかついていた。65で第1Rの65位から首位と3打差7位にチャージしても、ホールアウト後はご機嫌斜めだった。

 それほど、勝ちたい。選手会長として臨んだシーズンが前半戦を終えて、未勝利。親分肌の男は「ツアーの盛り上げ役」を自任して、何かと奔走。今大会は主催者側の要望に応え、コース内に異例の特注等身大パネルの設置をOKした。

 一方で“ネオン街の帝王”の生き様も崩さない。福岡と言えば、中洲。西日本を代表する繁華街に宿を取り、台風接近中だった前日も「テレビで見たら天神(中洲に隣接する繁華街)が水浸しだったよな」と言いつつ、きっちり夜の街に繰り出した。

 自分の美学を貫く男は、とにかく早く勝ちたい。「17番を除けばな…。明日の優勝争いを考えてやってたからさ」。09年大会は2打差4位から、最終日に大会レコードタイ63の猛爆で逆転優勝した。今回は3打差。鼻息荒く、待望の今季初Vを奪いにいく。【加藤裕一】