<米男子ゴルフ:フライズコム・オープン>◇第1日◇10日◇カリフォルニア州・コーデバレーGC(パー71)

 米男子ツアー2013-14年シーズン開幕戦で石川遼(22=CASIO)が順調なスタートを切った。6バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの69で回り、19位と好位置で発進。参戦2年目の今季はパットに加え、精神面で成長が見られた。

 石川は17番パー4で4メートルのバーディーパットを、最後のひと転がりでねじ込んだ。5メートル前後を決めてのバーディーはこの日4つ目。「午後に芝が伸びてボコボコになる西海岸のグリーンに、春先苦しんだ自分はどこに行ったのかなと思うくらい。練習の成果でしっかり打てた」。昨季不振の最大の要因だったパットでスコアを伸ばした。

 腰痛を克服したことで、昨季半ばからパットの練習量が大幅に増えた。これまでは大一番でも、平常心であることを強調してきた石川が、今回は「意識していないつもりが、スタートから硬かった。前半は緊張を引きずった」。それでも修羅場をくぐり、試行錯誤したことで、精神面で大きな成長を遂げた。

 昨季はシード確保に失敗し、4試合の賞金合計額で新シーズンの出場権を争う入れ替え戦に回ったが、第1戦のホテルフィットネス選手権でいきなり予選落ち。「気持ちが入り過ぎるのもよくない」という結論に達した。そこから変わった。入れ替え戦時にはスタート前に緊張を解くため、パット練習場でスマホでお笑い動画を見て、笑いをかみ殺すこともあった。気持ちの余裕が生まれたことで、大たたきしてもリカバーできるようになった。

 この日も6番パー4でダブルボギーをたたいたが、次のホールに口笛を吹きながら向かっていった。ショットは飛距離、精度ともに上がっている。課題のパット、精神面でもレベルアップ。苦しみながら戦い抜いた入れ替え戦から、石川が格段にたくましくなって米ツアーに戻ってきた。【塩畑大輔】