<女子ゴルフ:マスターズGCレディース>◇最終日◇27日◇兵庫・マスターズGC(6445ヤード、パー72)◇賞金総額1億4000万円(優勝2520万円)※賞金ランク加算額は75%(支払額は主催者の厚意により100%)

 賞金ランク2位の横峯さくら(27=エプソン)が2度目の賞金女王を射程圏内にとらえた。2位に5打差の首位で迎えた最終日、4バーディー、3ボギーの71にまとめ、通算12アンダーで今季3勝目、ツアー通算21勝目だ。6月のサントリーレディース終了時で約4338万円あった賞金1位森田理香子(23)との差が、約379万円に接近。09年に諸見里しのぶ相手に4389万7868円のツアー史上最大差を逆転、初戴冠した横峯が、残り5戦で2度目の奇跡を狙う。

 梅雨が終わり、夏が過ぎ、秋晴れの空の下で、横峯が今季3勝目を迎えた。3メートルのパーパットがカップ左に止まり、優勝パットはボギーのタップイン。右手を掲げ、うつむき加減で照れ笑いを浮かべた。

 「(約)380万円なんですね?

 380万ぐらいだったら、届かないことはないと思います」。6月中旬のサントリーレディース終了時は賞金ランク3位。1位森田と約4338万円も差があったのに…。今季残り5戦で手が届く場所に来た。

 2位に5打差の単独首位。自身過去最大のリードで迎えた最終日は、楽じゃなかった。序盤はショット、パットが乱れた。5打差を守って後半インに入ったが、13番でボギー。1組前のアンに一時、2打差と迫られた。「攻めたくても攻められない。全部パーでいいつもりでした」。最大5打差を追いつかれ、プレーオフ負けした昨年大会の悪夢が一瞬、脳裏をよぎったという。

 ミラクル再現のシナリオは、軌道に乗った。賞金女王を初戴冠した09年。諸見里との約4389万円差を引っ繰り返す「ツアー史上最大差」の大逆転を演じた。2度目の戴冠となれば、約4338万円差は史上2位のドラマになる。

 「もう若くないです」と笑う27歳は、昨夏に知人の紹介で都内の整体院に行って、ショックを受けた。「背骨が曲がってる」と言われ、週に1度通うようになった。今大会で連続11戦出場。最終戦ツアー選手権まで16戦連続出場となるが、それは開幕4戦目から最終戦まで32戦連続出場した09年に次ぐ、プロ2番目の強行軍だ。女王戴冠のルートを歩むため、体調管理に心を砕く。

 現時点で「賞金女王は頭にない」という。しかし、賞金女王に2度なる意味を問われると「それこそ、本物だと思います」と大きな声で即答した。「1回目はラッキーというか、実力以上、勢いがあったと思う。アン・ソンジュ選手みたいに2年連続(10、11年)で取れたら、本物だと思います」。闘志を内に秘め、横峯が真の女王の座へ、ひた走る。【加藤裕一】

 ◆5度目の年間賞金1億円突破

 横峯の年間賞金が1億86万6570円となり、07、08、09、10年に続いて通算5度目の「1億超え」となった。5度はツアー史上単独最多。他に複数の“大台超え選手”は4度の不動裕理(00、03、04、05年)全美貞(06、07、09、12年)、3度のアン・ソンジュ(10、11、12年)、2度の宮里藍(04、05年)李知姫(08、11年)有村智恵(09、12年)がいる。