<米男子ゴルフ:全米オープン選手権>◇第1日◇12日◇米ノースカロライナ州パインハースト&リゾート(7562ヤード、パー70)

 松山英樹(22=LEXUS)がメジャー自己ベストの6位発進を決めた。前半インは“寄せワン”を連発。後半2番終了時の2オーバーから終盤の3バーディーで1アンダーの69。首位と4打差につけた。終盤に右肩の違和感を覚えたが「寝れば治る程度」と気にするそぶりを見せず、日本人男子初のメジャー制覇に視界良好だ。

 松山のスイッチが入った。後半5番パー5、残り217ヤード。3番アイアンでピン奥10メートルに2オンさせ、2パットの楽々バーディー。219ヤードと今大会最長パー3の6番は、5番アイアンでピン右上2・5メートルにつける会心のショットだ。8番パー4は、残り178ヤードの第2打を7番アイアンでピン奥4メートルに運び、チャンスを沈めた。

 「切り替える、というつもりはなかったです。それまでも結果は良かったし、1ホールずつ消化する気持ちでした」。後半早々の1、2番で第2打をミスして連続ボギー。2オーバーになってから、最終的に69にまとめた1日を振り返る。

 我慢が流れを呼んだ。パープレーの前半インで、寄せワンのパーを5つ決めていた。通常のピッチ&ランもあった。キャリーを長くし、スピンを利かせたものもあった。グリーン外からパターも使った。中央が盛り上がった“まんじゅうグリーン”に対し、状況に応じて引き出しを開けた。

 メジャー自己ベスト6位発進を決めた松山を、同組で松山に1打劣った“先輩”も認める。元アマ世界ランク1位で、米ツアー1勝のリッキー・ファウラー(25=米国)。「僕の方が年も上で、全米オープンも6回目なんだけど…。ゴルフに年齢は関係ないね。ヒデキは世界ランクを駆け上がってきた。僕らの若い世代が、古い世代からメジャータイトルを奪いたいね」。この日は飛行機事故で急逝した、今回と同じコース開催の99年大会覇者ペイン・スチュワート氏に敬意を評し、同氏のトレードマークのニッカーボッカーでプレー。実力とファッションリーダーぶりで絶大な人気を誇る男が笑顔で語る。

 松山は終盤、右肩付近に違和感を覚え、何度かストレッチするしぐさを見せたが「普通にクラブを振れるし、問題ない。寝れば治る程度のものです」と大事でないことを強調。目指すはメジャー制覇。ささいな不安に立ち止まるひまはない。【加藤裕一】