<男子ゴルフ:ダンロップ・スリクソン福島オープン>◇第2日◇1日◇福島・グランディ那須白河GC(6961ヤード、パー72)◇賞金総額5000万円(優勝賞金1000万円)

 宮城県在住の岩田寛(33=フリー)が8バーディー、ノーボギーの64をマークし、通算10アンダー134の首位に立った。7月の全英オープン選手権では、予選通過確実な位置から、上がり2ホール連続ダブルボギー。1打足らず予選落ちした。リベンジを期しての帰国初戦は、地元東北開催。全英などの反省も生かした冷静な試合運びで、大震災以降初となる東北出身者のツアー優勝を狙う。第2ラウンドは日没サスペンデッドで、24人がホールアウトできなかった。

 最終18番パー5。岩田はドライバーで、中央のバンカーを越えてフェアウエーをとらえた。キャリーで300ヤードが必要な距離だが「思ったより飛んでいなかった」と涼しい顔。この330ヤード級のビッグドライブから、第2打をグリーン奥のラフまで運び、この日8つ目のバーディーを挙げた。

 会心の一撃を生んだドライバーには、自らへの戒めが刻まれていた。前日の最終9番パー4。岩田は第1打を右の池に入れた。悔しさのあまり、手にした5番ウッドを、キャディーバッグにたたきつける勢いで放り込んだ。そのはずみで、ドライバーのソールがわずかにへこんでしまった。

 冷静を保つべき場面で、キレたことを強く恥じた。第2ラウンドもあえて、へこんだドライバーを使った。たとえミスをしても、つとめて冷静に-。その一念が、8バーディーの好ラウンドにつながった。

 2週間前の全英では、午前6時25分スタートの第2ラウンド序盤、好天の大会でここだけという暴風雨に見舞われた。そこを耐え切り、残り2ホールで、通算1アンダーと予選通過確実な位置にいた。しかしそこから連続ダブルボギー。1打及ばず大会を後にした。

 いいゴルフができていた分、やりきれなかった。取材エリアで思わず「2度と来たくない」と口走り、物議を醸した。落ち着いた今、批判は素直に受け止めている。「また全英に出てリベンジを」との気持ちも強い。反省の念は「どんな時でもキレない、あきらめない」粘りのプレーで示す。

 被災地仙台に育ち、今も仙台に暮らす。震災時には、乗用車が津波で流される被害も受けた。地元東北の温かい声援に支えられ、岩田が悲願のツアー初優勝を目指す。【塩畑大輔】