<米男子ゴルフ:全米プロ選手権>◇最終日◇10日◇米ケンタッキー州バルハラGC(7458ヤード、パー71)◇賞金総額1000万ドル(約10億円)優勝180万ドル(約1億8000万円)

 世界ランク1位ロリー・マキロイ(25=英国)が全英オープンに続くメジャー2連勝で、同通算4勝目を挙げた。首位スタートの最終日、勝負のバックナインで1イーグル、2バーディーを決めるなど68で通算16アンダー268。ミケルソン、ファウラーとの激闘を制した。3日終了のブリヂストン招待を含めて史上5人目の米ツアー出場3連勝。来春のマスターズで史上6人目の生涯グランドスラムを狙う“新王者”は、ウッズから時代が移ったことを印象づけた。

 午後8時半を回った18番グリーン。30センチのウイニングパットを沈め、無数のストロボを浴び、マキロイが王者の雄たけびをあげた。「首位を奪われても必ず勝てる確信があった」。2ボギーが先行。一時はミケルソン、ファウラーらに首位を譲った。豪雨で1時間51分の中断もあった。それでも、地力の差を見せつけ、メジャー2連勝、米ツアー出場3連勝を決めた。

 勝負どころのサンデー・バックナイン。その皮切りの10番パー5(590ヤード)で、流れを変えた。300ヤード超のビッグドライブをフェアウエーへ。残り281ヤードの第2打を3番ウッドでピン2メートルにつけ、イーグルを奪う。13、17番でバーディー。18番は右に出た第1打が、クリークの赤くいまで1メートルのラフに止まる幸運もあり、後半インを32で駆け抜けた。

 時代はもうマキロイだ。今大会、腰痛の影響で予選落ちした38歳のウッズは、08年全米オープンを最後にメジャー優勝がない。バトンを受けたように11年全米オープンからメジャー4勝を重ねた。「模範的な選手にならないと。僕も子どもの頃ウッズやミケルソンを仰ぎ見ていたから」と自覚する。プライベートも華やかだ。5月に女子テニスのウォズニアッキと婚約を解消したが、全英直後に英国のタブロイド紙で「アイルランドの恋人」と呼ばれるナディア・フォードやサーシャ・ゲールら人気モデルとの熱愛報道が連発。スターの資質は十分だ。

 来春のマスターズに、史上6人目の生涯グランドスラムがかかる。「次の目標はもちろんマスターズ。今朝、ジェーソン(デー)のツイッターを見たら、あと242日。1月になれば、しっかり準備を始める」。オーガスタでグリーンジャケットを着る準備はできている。

 ◆生涯グランドスラム

 マスターズ、全米オープン(OP)、全英OP、全米プロのメジャー4戦全部に優勝すること。達成者は5人でジーン・サラゼン、ベン・ホーガン、ゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラウス、タイガー・ウッズ。なお同一年に全4戦を制した者(年間グランドスラム)はいない。<マキロイの記録>

 

 

 

 

 

 

 

 ◆年間メジャーマルチV

 現行の4大会がそろった1934年以降、年間2勝以上した選手は08年のパドレイグ・ハリントン(全英、全米プロ)以来15人目。米国人以外では5人目。

 ◆若年メジャー4勝

 25歳3カ月での達成は史上4番目の若さ。最年少は1872年のトム・モリス・ジュニアの21歳だが、1934年以降では24歳のタイガー・ウッズ、25歳2カ月のジャック・ニクラウスに次ぐ3番目の若さ。

 ◆米ツアー3連勝

 史上5人目。メジャー2連勝は08年ハリントン以来。