<女子ゴルフ:NEC軽井沢72>◇最終日◇17日◇長野・軽井沢72G北C(6555ヤード、パー72)◇賞金総額7000万円(優勝1260万円)

 韓国のイ・ボミ(25=マスターズGC)が得意のプレーオフを制して、今季3勝目、ツアー通算8勝目を挙げた。3バーディー、1ボギーの70で回り、通算13アンダー203で並んだ大山志保(37)菊地絵理香(26)とのプレーオフを1ホール目のバーディーで制した。これで日本ツアーのプレーオフは4戦4勝だ。ツアー屈指の人気者は賞金1260万円を加え、賞金ランクで首位に立った。

 プレーオフ1ホール目。決めれば勝利のイ・ボミのバーディーパットは、カップのふちをクルリと1周近く回った後、コロンと転がり落ちて決まった。「アンさんが順位を上げていたので、もっと頑張りましょうと思ってプレーしてました。いつも賞金ランクの1位でいたいと頑張っているので、勝って1位になれて良かったです」。胸の前で十字を切って、今季3勝目を天に感謝した。

 プレーオフには自信があった。大山、菊地絵と並んで迎えた正規の最終18番パー4、フェアウエー中央からの第2打。バーディーで決着をつけたくなる場面で、イ・ボミは清水キャディーから助言を受けた。「プレーオフには強いんだから、ここはピンを攻める必要はない」。

 メンタルの強さと、ショット精度を持ち合わせ、重圧がかかる場面でも狙ってバーディーを取れる。イ・ボミはいわば、プレーオフの申し子だ。清水キャディーの言葉通り、安全なグリーン中央に落としてパーセーブし、延長戦決着を選んだ。そこで狙い通りに勝ち、日本ツアーのプレーオフは4戦4勝となった。

 避暑地軽井沢に多くの観衆が訪れた今大会でも、イ・ボミを応援するファンの多さは特に目立っていた。「ボミちゃん、ボミちゃんと言ってくれる方が増えたなぁと思います。日本には心から応援してくれるという方がたくさんいます」。ゴルフ専門誌のアンケートでも、日本人選手を抑えて支持率1位に輝くほどだ。

 日本での生涯獲得賞金は史上3番目に早い86試合で3億円の大台を突破。人気と実力を兼ね備えたツアーの主役が、賞金女王に向けてまい進する。【塩畑大輔】

 ◆イ・ボミ

 1988年8月21日、韓国・水原市生まれ。12歳でゴルフを始める。08年から韓国ツアーに参戦し、10年に3勝を挙げ賞金女王。「スマイルキャンディー」の愛称がつくなど人気となる。11年から日本ツアーを主戦場とし、12年ヨコハマタイヤ・プロギア・レディースで初優勝。同年のLPGAツアーチャンピオンシップ・リコーカップで国内4大大会初制覇。13年日本女子プロ選手権優勝。日本ツアー通算8勝。158センチ、56キロ。血液型A。