<アマゴルフ:日本ジュニア選手権>◇最終日◇22日◇埼玉・霞ケ関CC(男子=西C、7053ヤード、パー71、女子=東C、6461ヤード、パー72)

 4月に女子ツアー史上最年少優勝記録を更新した勝みなみ(16=鹿児島高1年)が、20年東京五輪の開催コース、名門・霞ケ関CCを制した。6打差2位から出て6バーディー、1ボギーの67で通算10アンダー206として女子15~17歳の部で初優勝。首位から出た畑岡奈紗(15=茨城・翔洋学園1年)に2打差をつける大逆転劇だった。日本代表として臨む9月3日開幕の世界アマチーム選手権(長野・軽井沢72)にも弾みがつく勝利となった。

 18番で1メートルのウイニングパットを沈めても、派手なガッツポーズも満面の笑みもなかった。勝は帽子に手を当てておじぎをし、同伴競技者と握手した。スコア提出を終えると「もう、泣きそう…」と感極まり、「取りたかったタイトルだったから…」と涙声だ。母久美さん(47)によると、勝って泣いたのは初めて。前日まで「意識しません」と話したのは自分に重圧をかけないためで「本当は勝ちたかった」と明かした。

 6年後の東京五輪での活躍を予感させる勝ち方だった。1番で畑岡にバーディーを奪われても、2番で取り返す。前半で2打縮めて「自分に風が吹いてくれると信じて」攻め続けた。圧力のかかった相手が崩れ出すと、14番パー5ではスーパープレー。左の林の中から残り155ヤードの第3打は、目の前に立つ木の枝のわずか1メートルの隙間を「イチかバチか。木に当たってもいい」と7番アイアンで狙った。ピン右手前5メートルにつけ、バーディーとして1打差に。17番で2メートルを入れて逆転すると、18番で突き放した。

 霞ケ関CCは東京五輪でゴルフ競技の会場になる。「オリンピックもやれるんじゃないかと…」といったん言葉を切り、「思ってないですけど、思いたいですね」と笑顔で続けた。本大会では東西コースが男女で1年ごとに入れ替わり、今回女子は東コース。「自分は西の方が好きなので、東で勝てたのは大きい」。五輪本番のコース設定は未定だが、どちらでも自信が持てそうだ。プレー中に五輪に向け改造されるコースを想像したこともあった。

 五輪の前に今年は、自国開催の世界アマという大仕事が残っている。「ホステス国?

 ホスト国?

 開催国?

 だから期待も大きい。今年は優勝できると思います」と言い切った。その先には自国開催の五輪での栄冠も待っている。【岡田美奈】

 ◆勝(かつ)みなみ

 1998年(平10)7月1日、鹿児島市生まれ。6歳からゴルフを始める。12年後期と今年前期のアマチュアのナショナルチームメンバー。ドライバーの平均飛距離は240ヤード。好きなタレントは漫才コンビのノンスタイル(ボケの石田が好き)。157センチ、56キロ。

 ◆日本ジュニア選手権

 1957年(昭32)から始まり、69年から女子、76年から中学、95年から男女12~14歳、15~17歳の4部門に。女子の歴代優勝者には85~87年平瀬真由美、89~91年福嶋晃子、02年横峯さくら、03年宮里藍、05年原江里菜、06、07年宮里美香ら。昨年は堀琴音。勝みなみは12~14歳の部では11年3位、12年4位、13年5位だった。

 ◆霞ケ関CC

 埼玉県川越市に1929年(昭4)開場、埼玉初のゴルフ場で、日本屈指の名門。東コースは藤田欽哉、赤星四郎設計。32年に井上誠一設計の西コースができ、36ホールを持つ日本初のコースに。57年にカナダカップ(現W杯)を開催し、中村寅吉と小野光一が優勝し、ゴルフブームの火付け役に。日本オープン4度、日本女子オープン1度開催。71年から日本ジュニア開催。

 ◆五輪でのゴルフ競技

 16年リオデジャネイロ五輪で112年ぶりに五輪競技に復帰。男女それぞれ60人が、4日間72ホールのストロークプレーでメダルを争う。出場枠は世界各ツアーや大会ごとにポイント(P)を設定して順位付けする世界ランクをもとにしたIGF(国際ゴルフ連盟)の「五輪ランキング」で決まる。男女ともに1カ国最大4人が出場できる。