<男子ゴルフ:アールズエバーラスティングKBCオーガスタ>◇第1日◇28日◇福岡・芥屋GC(7150ヤード、パー72)◇賞金総額1億1000万円(優勝2200万円)

 広島県出身の谷原秀人(35=フリー)らツアーメンバーが、多数の犠牲者を出した広島市の土砂災害の支援に向け立ち上がった。「何か手助けをしたい」という思いから今大会は帽子などに喪章をつけ出場した。谷原を中心にその思いはツアーメンバーに広がっている。谷原は首位に5打差の2アンダー70の24位とまずまずのスタートを切った。首位は7アンダー65で金亨成(34)が立った。

 谷原の白い帽子の後ろにつけた喪章が揺れる。上がりの9番パー5、強いフォローの風に、グリーン右奧のピンに対して第3打をオーバーさせた。ピンに近い深いラフから寄せるのは難易度が高い。しかし、ツアー10勝の名手はピンから約1メートル、ここしかない所に落として絶妙のパーでしのいだ。第1日を2アンダー70の24位で終わりホッとした表情を見せた。

 谷原は広島・瀬戸内高出身。東北福祉大に進むが、実家は同県尾道市にある。「今回の災害のところよりはだいぶ東寄りなんですが、やり切れないですね」。20日未明に起こった広島市の大規模土砂災害。今も懸命の救出作業が行われているが、多数の尊い命が失われており、心を痛めていた。

 そんな谷原のもとに大会前日の27日、被害甚大の広島市安佐北区で生まれ育った河井博大(42)と、山口県出身だが東広島市の賀茂CCで6年間世話になった竹谷佳孝(34)が「何かしたい」と相談に来た。「それじゃあ、これからの試合で哀悼の意を表す喪章をつけることから始めよう」ということになった。

 この日のスタート前に日本ゴルフツアー機構が用意してくれた喪章を、この3人のほか広島市出身の上平やそのキャディーらも帽子やパンツにつけてコースに出た。「広島の人はゴルフどころじゃないだろうけどいいプレーを見せて、勇気を与えたい。これから、ツアー全体でも何ができるかを考えたい」と谷原。プロ野球、Jリーグ、そしてゴルフ界にも故郷を思う心が広がった。【町野直人】