<女子ゴルフ:日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯>◇第1日◇11日◇兵庫・美奈木GC(6645ヤード、パー72)◇賞金総額1億4000万円(優勝2520万円)

 プロ3年目の渡辺彩香(20=ユピテル)が首位と1打差2位で滑り出した。ツアー屈指の飛距離を生かし、4バーディー、2ボギーの2アンダー70。日本女子ゴルフ界の大器が、宮里藍の「21歳83日」を更新する「20歳360日」の大会最年少優勝に挑む。

 スケールがでかい。後半の7番パー5(520ヤード)。フォローの風に乗り、渡辺の第1打はぶっ飛んだ。元賞金女王・上田より20ヤード以上、今季賞金ランク1位イ・ボミはミスショットだったとはいえ、40ヤード以上先のフェアウエーへ。ピンまで残り257ヤードから、3番ウッドでピン左6メートルに2オンさせ、イーグル逃しのバーディーを決めた。

 この日のパー4の第2打で使った最も大きいクラブが8番アイアン。そんな大器は寝て育つ。ツアー本格参戦2年目の今季、早い時は午後8時前に寝て、疲れを取る。前日10日は午後9時前に寝て、午前5時に起床。電話、メールが来ても「全然気づかないんです」と笑った。

 大器は海外で目覚めた。6月に全米女子オープン(予選落ち)7月に全英リコー女子オープン(29位)に出場。「全英の強風の中で予選を通ったのは自信になった。でも、今回、日本のメジャーには日本なりの難しさがあるなと感じます」。海外メジャーは大きなミスに容赦がない。今大会はピンポイントのショットの精度が要求される。「セッティングが難しいので、ロングホールを大事にしていこうと思っていた」。計算通り、4バーディーのうち、3個をパー5で奪った。

 最終日で「20歳360日」になる。優勝すれば、宮里藍の持つ大会最年少優勝記録「21歳83日」を更新する。「ホームページを見て知ってました。『ぎりぎりチャンスがあるな』と」。大器はおくせず、快挙に挑む。【加藤裕一】

 ◆渡辺彩香(わたなべ・あやか)1993年(平5)9月19日、静岡県熱海市生まれ。ゴルフは6歳から。中3の08年日本ジュニア(12~14歳)で優勝。09年からナショナルチーム入り。埼玉栄高卒業の12年にプロテストに合格。昨季賞金ランク46位で初シード奪取。今季は3月のアクサレディースでツアー初優勝。現在賞金ランク8位。172センチ、65キロ。

 ◆大会最年少優勝

 88年ツアー制施行後では、06年大会で宮里藍が記録した「21歳83日」。国内メジャー全体の最年少優勝は89年JLPGAレディーボーデンカップ(現LPGAツアー選手権リコー杯)の平瀬真由美で「20歳27日」。ツアー記録は今年4月KKT杯バンテリンレディースでアマチュアの勝みなみが記録した「15歳293日」。