<男子ゴルフ・ダイヤモンド・カップ>◇第3日◇27日◇茨城・大利根CC西C(7117ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 片山晋呉(41=フリー)が3バーディー、1ボギーの69で回り、首位と3打差の通算2アンダー211の6位に浮上した。7月に首と腰のケガが悪化。一時は歩行不能で自宅から病院へ搬送されるほどだったが、2カ月で優勝争いを演じられるまでに回復した。27勝中、最多の4勝を挙げてきた地元茨城で再び勝利し、完全復活ののろしをあげる。石川遼(23)は74と崩れ、同3オーバー40位。中国の梁津万(36)が同5アンダーの単独首位に立った。

 ボールをのみ込む深いラフをアイアン一閃(いっせん)切り裂いた。後半8番パー4。片山は第1打を右の深いラフに入れた。ほとんどの選手が出すだけになり、全ホール中最多の29個のダブルボギーを量産してきた、最悪のライだ。

 距離も162ヤード残り、目の前の林も行く手を阻んだ。しかし片山は敢然とグリーンに向かって構えると、8番アイアンを居合抜きのように振り抜いた。故郷茨城が生んだ歴史的剣豪、塚原卜伝ばりの鋭い一撃。左手1本の大きな振り抜きでピン左8メートルに運び、楽々とパーセーブした。

 深いラフと難しいピン位置で、平均打数は72・426に達した。厳しい状況だからこそ、片山の技術が光った。しかし2カ月前まではクラブを振るどころか、歩行すらままならなかった。7月20日朝。片山は自宅で首と腰に激痛が走り、倒れて動けなくなった。友人2人に抱えられて、病院に担ぎ込まれた。

 以前から症状が出ていた頸椎(けいつい)ヘルニアが悪化していた。治療のため、いくつもの病院を回った。「来る日も来る日も注射だった。脳神経外科で注射を打った際には、半日ほど視野が半分になったりもした」。ようやく相性のいい整体師にめぐりあい、急激に症状はおさまった。

 「今日は遼と孔明と同組だったので、気合が入った。でも今は優勝争いの中で、皆さんの取材を受けられるだけで幸せ」と首を振る。それでも今大会に入ってから、急激にショットのキレを取り戻しており、練習場では「だいぶ感触が戻ってきた」とうなずいていた。地元の声援を背に、3打差逆転Vを狙う。【塩畑大輔】