<男子ゴルフ:ダイヤモンド・カップ>◇最終日◇28日◇茨城・大利根CC西C(7117ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 藤田寛之(45=葛城GC)が4打差を逆転して今季3勝目、ツアー通算18勝目を挙げた。6バーディー、1ボギーでこの日ベストの66をマーク。通算6アンダー278とし、14位から上位をごぼう抜きした。アジアツアーの出場権を得るとともに、国内ツアーの賞金ランクも首位に浮上。「40代の星」が2度目の賞金王と、世界を股に掛けた活躍を視野に入れた。石川遼(23)は71と伸ばせず、3オーバーで36位に終わった。

 最終18番パー5。藤田は3メートルのバーディーパットを、ど真ん中から決めてガッツポーズした。「第3打前に、ボードで首位タイだと確認していた。決めれば勝つかプレーオフ。外せば負けだと思った」。首位を競っていたS・K・ホは17番で痛恨のボギー。結局、2打差をつけた完勝となった。

 今季3勝目を「信じられない」と振り返る。昨年の脇腹疲労骨折に続き、今季は左肩をケガ。炎症止めの注射を打ちつつプレーする。ゴルフ自体も昨年のマスターズ対策でドローに球筋を変えて以降、長く不振に陥っていた。「まだ修正している最中。結果が出て驚いています」と首を振る。

 年を重ねるごとに「ゴルフへの執着も減った」と言う。だが誰よりも遅くまで会場に残り、練習を続ける。今月中旬のネスレ日本マッチプレー選手権では、1日で2試合36ホールをこなした後も、日が暮れるまで球を打っていた。

 その理由は「応援してくれる方々の存在です」と明かす。フェイスブックやツイッターで同じ40代から「力になります」「希望をもらいました」と多くのメッセージをもらう。会場でもひときわ大きな声援を受ける。「自分がゴルフをやる意義を感じる。くじけそうな時ほど、大きな声に背中を押される」と話す。

 日本ゴルフ界の将来を憂う気持ちも強い。「40代のゴルファーが3勝もするツアーは世界でも他にない」と苦言を呈する。この勝利で欧州との共催試合も含めたアジアツアーのシード権を得た藤田は、賞金王獲得によるマスターズ出場も視野に入れている。

 しかし、海外への切符は、本来若手が必死に奪いに来るべきだと、藤田は考える。「世界に通用するために何をすべきかは、行ってみないと分からない。若い人は世界の選手がすごいとか言っていてはいけないと思う。松山が強気発言とか言われるけど、あれくらい負けたくないと思ってやらないと」。若手選手の奮起を促すためにも、中年の星が大きな壁となって、後進の前に立ちはだかる。【塩畑大輔】

 ◆藤田の今後

 アジアツアーとの共同主管の今大会を制した藤田は、アジアツアーのシード権を獲得し「メンバー登録する」と明言。欧州ツアーとの共催試合など、ビッグトーナメントへの出場も可能になる。また12年以来の国内ツアーの賞金王になると、来年4月のメジャー、マスターズへの招待がほぼ確定。世界ランクも100位以内に入り、マスターズ直前の米ツアー戦に推薦などで出場が可能になる。藤田は「まずは春先のアジア戦ですが、米ツアーに出られればそちらを優先すると思う」と話した。