<米男子ゴルフ:フライズコム・オープン>◇第1日◇9日(日本時間10日)◇米カリフォルニア州シルベラードリゾート北C(7203ヤード、パー72)

 松山英樹(22=LEXUS)が、米ツアー本格参戦2シーズン目のスタートを順調に切った。3バーディー、1ボギーの70で回り、首位と4打差の25位。昨季終了からわずか3週間のインターバルで迎えた開幕戦だが、国内ツアー戦などに出場せずに休養に専念したことで、心身ともにリフレッシュした。

 我慢の展開の中でも、イライラが募ることはなかった。最終9番パー5。松山はフェアウエーから残り100ヤードの第3打を、56度のウエッジでピン左2・5メートルにつけた。これを沈めて、今季初ラウンドをバーディーで締めた。「すごく良いスタートが切れたと思います」。後半に入り、パットが決まらずスコアが伸ばせなかったが、気長に待ったチャンスを生かした。

 本来、完璧主義者の松山にとって、ショット、パットの内容は「悪くはないですけど、良くもない。ふつーな感じ」と満足いくレベルではなかった。それでも淡々とスコアをまとめられたのは「3週間休んだことがすごく大事だったと思う」と自己分析する。

 昨季はルーキーながら、6月のメモリアル・トーナメントでツアー初勝利を挙げた。しかし、これを境に自分に課するハードルが高くなり、プレー中に笑顔をみせる場面がなくなった。しかもシーズン終盤戦は日本を3カ月離れ、最終戦まで7連戦にもなった。肉体改造でタフさを増している松山も、さすがに心の疲労とストレスがたまった。

 昨季閉幕後、日本での3週間のオフには「試合中には追い込めないから」とフィジカルトレーニングを強化するつもりだった。だが飯田トレーナーは「今はとにかく休んだ方がいい」といさめ、休養に専念させた。これで心身ともにリフレッシュ。オフ明けには「ゆっくりご飯を食べられました」と晴れやかな表情で、米国に出発していた。

 「昨季はグリーンに乗っても、ちょっと遠かったらイライラしていた。今はだいぶすっきりして、遠くても怒ることなくプレーできた」。新しい試みをする余裕もある。9番の第3打で使った56度のウエッジは、この試合から投入した。終始明るい表情で、松山が新境地を目指すシーズンをスタートさせた。