<男子ゴルフ:日本オープン選手権>◇第1日◇16日◇千葉・千葉CC梅郷C(7081ヤード、パー70)◇賞金総額2億円(優勝賞金4000万円)

 注目の世界ランク2位のアダム・スコット(34=オーストラリア)は、600ヤード超の長いパー5でアイアンによる2オンに成功するなど、随所で世界クラスのプレーを披露。来日2日目ながら68とまとめ、9位と上々のスタートを切った。

 ワールドクラスのショットを連発し、大観衆をうならせた。最終18番パー5。スコットはティーグラウンドで、ドライバーを強振した。フィニッシュでシャフトが、体に巻き付きそうなほどしなる。ひしゃげそうな音を立てて飛んだボールは、333ヤード先のフェアウエー中央に着弾した。

 「自分にとって大事なホールだった。バーディーで終えれば、明日につながる」。ピンまで265ヤードの第2打は、なんと2番アイアン。グリーン手前のカラー付近にキャリーすると、転がること5ヤードほどでピタリと止まった。

 8メートルのイーグルパットは、カップ右をかすめて惜しくも外れたが、楽々バーディーフィニッシュ。ホールアウト直後で、グリーン奥で見ていた昨年優勝の小林は「届かせるというより、カット回転でピン付近に止めに来ていた。信じられない1打」と目を丸くした。

 並外れたショットの威力は、前日の練習場でも明らかになっていた。データ測定したスタッフによると、ドライバーショットのボール初速は毎秒78メートルを超えた。国内ツアーの平均は同72~73メートルとされ、松山でも米ツアー昨季平均は同75メートル強。長距離フライトをへての来日直後で、しかも冷たい雨が降る中だけに、驚きの数字と言うほかない。

 台風の影響で来日が2日遅れ、前日昼の会場入り。練習ラウンドが1番からの9ホールしかできなかった。その影響で、この日はドッグレッグが多い10番からの9ホールでは、フェアウエーをほとんど捉えられなかった。「僕のスイングが悪かっただけ」と笑うが、コースが分かった第2ラウンド以降は、フェアウエーキープからチャンスを量産する可能が非常に高い。

 7年ぶりの来日。スコット見たさに集まった観衆は、昨年第1日の1586人から3倍になった。「日本のファンは熱狂的で、気持ちを盛り上げてくれた」とほほ笑む。さらなるバーディーラッシュで、アダムフィーバーを巻き起こすつもりだ。【塩畑大輔】

 ◆アダム・スコット

 1980年7月16日、オーストラリア・アデレード生まれ。00年に米ネバダ大を中退してプロ転向。01年に欧州ツアーのダンヒル選手権で初優勝。03年にはドイツ銀行選手権で米ツアー初優勝。ユニクロと契約した直後の13年マスターズでメジャー初優勝。今年3月には世界ランク1位に立った。4月にマリーさんと結婚。米ツアー通算11勝、欧州ツアー通算9勝、その他13勝。183センチ、82キロ。