<女子ゴルフ:マスターズGCレディース>◇第2日◇24日◇兵庫・マスターズGC(6445ヤード、パー72)◇賞金総額1億4000万円(優勝2520万円)

 プロ3年目の渡辺彩香(21=ユピテル)がツアー自己ベスト、大会コースレコードタイの63で通算11アンダー、5打差19位から1打差2位に急浮上した。3月アクサレディースでツアー初Vを飾った“次世代のエース候補”が、6~7月にメジャーで世界レベルを初体験。シーズン終盤戦に成長の跡を見せ、待望の2勝目を狙う。

 グリーンエッジまでが打ち上げの10ヤード。エッジからピンまでは5ヤードしかなく、下りのスロープも入る。12番パー5。第2打をグリーン左に外した渡辺が手にしたクラブは、ピッチングウエッジ(PW)だった。

 「以前なら58度のウエッジでエッジまでのマウンドを越して、直接グリーン面に落とした。でも『PW』と思えたのがうれしい」

 低い球でエッジ手前にワンクッションを入れ、勢いを殺して1メートルにつけた。自己ベストスコア63の中で、ツアー屈指の飛ばし屋が、技で奪ったバーディーを喜んだ。

 夢が「メジャー制覇」の21歳は今季、6月の全米女子オープン、7月の全英リコー女子オープンで初めてメジャーに出た。全米では砲台グリーン周りが、カラーのように徹底的に刈り込まれたセッティングを経験。硬く薄い芝のライから、58度とパターで寄せにいったが、歯が立たなかった。「『ボギー狙いのアプローチ』しかできない。悔しかったです」。それまで58度のみだったアプローチ練習に、50度、52度を加えるようになった。練習ラウンドではPWも使う。「まだ“引き出し”が増えていないけど、増やしたい」。世界で戦うための努力が、少しずつ形になり始めた。

 メジャー初出場などの過密日程で、夏場に3キロ落ちた体重が2キロ戻った。前日の12番、この日の15番でイーグルを奪い、パー5は2日間計8ホールで9アンダーを記録した。3月アクサレディースのツアー初優勝から7カ月。初優勝の自分へのご褒美に購入した高級車アウディも、このほど納車が完了した。

 「今年中にもう1勝。自分にプレッシャーをかけて、達成したいです」

 待望の2勝目へ。条件は整っている。【加藤裕一】

 ◆渡辺彩香(わたなべ・あやか)1993年(平5)9月19日、静岡県熱海市生まれ。ゴルフは6歳から。埼玉栄高卒業の12年にプロテスト合格。昨季賞金ランク46位で初シード権。3月アクサレディースでツアー初優勝。賞金ランク10位。172センチ、64キロ。