<男子ゴルフ:マイナビABC選手権>◇第1日◇30日◇兵庫・ABCGC(7130ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 ツアー参戦2年目の香妻陣一朗(20=宮崎レイクサイドGC)が、6バーディー、1ボギーの5アンダー66で回り、初めての首位発進を果たした。美人プロで2歳違いの姉琴乃も現在売り出し中。香妻は今回、マンデー予選(主催者最終選考会)を通過して本戦出場を果たしており、ツアー史上5人目の「マンデー優勝」の快挙に挑む。大会2連覇を目指す池田勇太(28)ら6人が首位に並んだ。

 香妻は2番で5メートルのバーディーを決めて、9番パー4へやってきた。第1打が右フェアウエーバンカーに飛び込んだ。グリーンはアップヒル。ピンはグリーン右サイドに立っている。ミスして右に曲げると松林の地獄谷が待っている。

 「安全にいこうかと迷いましたが、えーい、いってやれ」とピンまで169ヤード、7番アイアンでこん身の一打を放った。これが、見事なフェードの弧を描き、ピン20センチについた。この“オーケーバーディー”で勢いづいた香妻はインで4バーディーを奪い(1ボギー)、5アンダー66でホールアウト。ツアー2年目で初めて首位に立った。

 実はこの5アンダーは、27日のマンデー予選と同じスコア。これで7人の枠に入り本戦に進んでいた。「本戦でも5アンダーが出るとは」と驚くが、9番の第2打のような「思い切りがこのスコアにつながったのかな」と振り返った。

 宮崎・日章学園高出身で昨年からツアーに参戦している。今季は13試合に出場して23位が最高。約328万円しか稼げずランク105位に低迷している。出場できる試合は、この大会と来週のもう1試合。背水の陣の20歳はここで優勝はもちろん、単独2位の賞金1500万円稼げれば来年のシード権は保証される。あと1試合あるが、ここを逃せば苦しい最終予選会に回る可能性がある。

 2歳差の姉琴乃は美人ゴルファーとして注目を集めており、7月にはプレーオフの末に初優勝を逃したが2位に入った。姉とともに小さい頃から、横峯さくらの父良郎氏が主宰する「めだかクラブ」で腕を磨いてきた。「(初優勝は)姉ちゃん(先に)どうぞ」と言ったが「オレが1発やってやる」の思いはある。マンデー予選からはい上がっての優勝なら男子ツアー5人目の快挙。身長165センチの伏兵にチャンスが巡ってきた。【町野直人】

 ◆香妻陣一朗(こうづま・じんいちろう)1994年(平6)7月7日、宮崎県生まれ。ゴルフは2歳から始めて、宮崎・日章学園時代の12年には日本アマ3位、九州アマ優勝。その年にプロ転向し、ツアーデビューは昨年のつるやオープン。165センチ、71キロ。

 ◆マンデー予選通過からのツアー優勝者

 79年佐藤昌一(フジサンケイクラシック)85年B・ジョーンズ(三菱ギャラン)04年井上信(ABC選手権)10年小山内護(長嶋茂雄招待セガサミーカップ)の4人がいる。元下部ツアーの後援競技では、79年に三上法夫が日本国土計画サマーズでマンデーから優勝している。