<男子ゴルフ:マイナビABC選手権>◇第2日◇10月31日◇兵庫ABCGC(7130ヤード、パー71)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 ツアー2勝、若手の実力者・小平智(25=Admiral)が、3バーディー、1ボギーの69で回り、通算7アンダーで首位に2打差の3位につけた。これで先週の米下部ツアー1次予選を挟み、2週前の日本オープンから6日間60台を出す好調さで、ツアー3勝目を狙う。

 小平は、6番480ヤードパー4の第2打で、5番アイアン(I)を握った。ピンまで190ヤード。このホールは2年前まではパー5だった難しいホール。この日の平均ストローク4・191で3番目の難易度を誇る。そこでピン手前2メートルにつけバーディーを奪った。

 「昨日(第1日)もここでべたピンですから。ロングからミドルアイアンの精度が上がってきました」。少し自慢が入ったが、数字がそれを示している。会場のABCGCの特徴は、4つのパー3が200ヤード前後と長いことだ。ここを小平は、この日すべて3Iから5Iでワンオンさせ2パットパーに収めている。この“精度上昇”で、スコアを2つ伸ばし、首位に2打差の絶好位置につけた。

 小平は昨年の日本ツアー選手権で初優勝して脚光を浴びた。飛ばし屋で切れ味鋭いゴルフをする。その勝利で、全英オープンや米ツアーのブリヂストン招待に出場したが、たたきのめされた。その時「ミドルアイアンの精度の違いがわかった。これを上げないと世界では戦えない」。苦い味が小平を練習に駆り立てた。

 そんな成果が、8月のツアー2勝目につながり、2週前の日本オープンでは68、68、69、66と4日間60台を並べて2位に入った。そして先週は米ツアー挑戦という自身の夢へ向け、米下部ツアーの1次予選を見事クリアし、今週の大会に乗り込んできたのだ。

 第1日が66、この日が69。「あと2日間も60台でいきます」。ショットの精度が上がってきたからこその宣言だ。有言実行すれば、ツアー3勝目が、世界へ飛び出そうとしている小平に転がり込んでくるかもしれない。【町野直人】

 ◆小平智(こだいら・さとし)1989年(平元)9月11日、東京都生まれ。ゴルフは10歳から。日大に進むが2年中退。10年プロ転向し、昨年の日本ツアー選手権と、今季のダンロップ・スリクソン福島オープンのツアー2勝。現在約3450万円を稼ぎ賞金ランク18位。172センチ、70キロ。