<男子ゴルフ:三井住友VISA太平洋マスターズ>◇第3日◇15日◇静岡・太平洋C御殿場C(7246ヤード、パー72)◇賞金総額1億5000万円(優勝3000万円)

 池田勇太(28=日清食品)が、5バーディー、1ボギーの68で回り、通算7アンダー209とし、首位と3打差の6位に浮上した。ツアー通算12勝も、この大会はプロデビュー以来、優勝争いが遠かった。苦手を克服しての逆転優勝で、念願の賞金王へラストスパートを開始する。

 18番パー5、第2打。池田はピンまで残り243ヤードの右ラフで、3番ウッドを強振した。大きな放物線を描いたボールはピン右1・5メートルにピタリ。スーパーショットにグリーン周辺の観衆からドッと歓声が湧いた。

 イーグルパットは、カップの右ふちにさわったが、外れた。「最後は入れなきゃいけませんね。でも何とかこの位置につけてるのはいいこと。あまり得意なコースじゃないから」。悔しさと満足さのまじった、複雑な表情を浮かべた。

 会場の御殿場Cは国内ツアーの最後の「壁」だった。プロデビュー以来、好成績が挙げられず「ラインが読めん」とこぼした。しかし、昨年から苦手克服の予兆が見えてきた。同じく苦手だった4月のつるやオープンで初の予選通過。2年連続で途中棄権した11月のマイナビABC選手権で優勝。御殿場Cでは8位に入った。「去年の成績を足掛かりに少しはやれそうな感触が出てきた」と、今年は優勝争いに加わった。

 今回は世界ランク3位のB・ワトソンの参戦で大会の「格」が上がり、成績次第で得られる同ランクのポイントが、優勝なら普段の16から24にアップ。優勝賞金も高く、勝てば現在6位の賞金ランクでトップに迫ることもできる。何より苦手意識の克服は、今後につながる大きな収穫になる。池田は「最後まであきらめずにやりたいね」と話した。【塩畑大輔】