<男子ゴルフ:ダンロップフェニックス>◇第3日◇22日◇宮崎・フェニックスCC(7027ヤード、パー71)◇賞金総額2億円(優勝4000万円)

 国内通算6勝目を目指す松山英樹(22=LEXUS)が単独首位を守った。4バーディー、ノーボギーでこの日ベストスコアの67をマークして通算14アンダー199。2打差2位のジョーダン・スピース(21=米国)と最終日最終組が決定、4日間すべて同組で回ることになった。80年全米オープンの青木功とジャック・ニクラウスの死闘を思わせる4日間同組のライバル対決を制し、初のホストプロ優勝に挑む。

 重苦しい緊張感を、会心のガッツポーズで吹き飛ばした。18番パー5。松山は第3打のアプローチを寄せきれず、バーディーパットを5メートル残した。しかししっかりと決め「勝つためには、今日2打差で終われたことは大きい」と右こぶしを何度も振って喜んだ。

 一昨年に82年ぶりに10代で米ツアー優勝を果たし、今年のマスターズで2位の新星スピースとの最終組。まるで最終日のような緊張感が2人を包んだ。松山は前半2バーディーを挙げたが、チャンスでパットがカップをかすめて外れ続け、何度も天を仰いだ。10番パー4ではアプローチを寄せきれず、パーパットが3メートル残るピンチも迎えたが、何とかねじ込んでしのいだ。

 「あれは大きかった」と松山。11番から3連続バーディーのスピースに一時単独首位を譲ったが、気持ちは切れなかった。17番パー3で4パットダブルボギーをたたいたライバルに対し、貫禄のノーボギー。「いいペアリングだった」と緊張感を楽しみきった。

 スピースとはこれで4日連続の同組、しかも2日続けて最終組となった。米ツアーで同組自体は何度もあるが、ここまでのガチンコ勝負は初めて。「なかなかないこと。これから米ツアーでもこういう戦いをともにしていきたいし、最初の1歩として、負けないようにしたい」。今後続くであろう“名勝負数え歌”の序章として、勝ちを譲るわけにはいかない。

 スピースは「ヒデキは日本で、米国でのタイガーのような存在。たくさんのメディアの中で戦うのは、僕にとっても楽しい経験」とモチベーションを上げる。松山も「ホストプロだし、日本人選手がほとんど勝てていない試合なので、勝ちたいという気持ちは強い」とキッパリ。過去国内ツアーで5回中4回優勝と、勝率8割の最終日最終組を前に、あらためて勝利を誓った。前日、スピースの体調不良で約束していたディナーは断念した2人だが、最終日の会場では、ライバル同士の真剣勝負をフルコースで味わい尽くすつもりだ。【塩畑大輔】

 ◆80年全米OP

 日米ライバル対決と言えば、80年全米オープンで青木功とジャック・ニクラウスが繰り広げた「バルタスロールの死闘」がある。2人は4日間同組で回り、72ホール目に互いにバーディーを取り合い、ニクラウスが優勝、2打差で日本選手メジャー最高位の2位に青木が入った。松山は少年時代に初めて出会ったプロが青木で、今年6月に米ツアー初優勝したメモリアル・トーナメントのホストがニクラウスで、2人と縁もある。