<米男子ゴルフ:現代自動車チャンピオンズ大会>◇第3日◇11日◇米ハワイ州プランテーション・コース(7452ヤード、パー73)◇賞金総額570万ドル(約6億8400万円)優勝114万ドル(約1億3680万円)

 松山英樹(22=LEXUS)が、米ツアー2勝目の大チャンスだ。2日連続でベストスコア66をたたきだし、通算17アンダー202でジミー・ウォーカー(米国)と並ぶ首位で最終日を迎える。この日は自身で課題に挙げていた小技がさえた。海外メディアからも注目される中、初優勝した昨年のメモリアル・トーナメントで得た自信を生かしたいと宣言。昨年優勝者だけが出場できる「エリート大会」で勝てば、4月マスターズにも大きな弾みとなるはずだ。

 18番パー5、セミラフから残り51ヤードの第3打はグリーン上で絶妙な転がりを見せ、カップ右をかすめて60センチに。松山は「たまたまですよ」と照れ笑いしたが、第1打、第2打のミスを見事にカバーして楽々バーディーを奪った。これで2日連続の8バーディー、1ボギーの快進撃。米ツアーで最終日を首位で迎えるのは、昨年5月クラウンプラザ招待以来2度目だ。

 プレー後は日本報道陣だけでなく、海外メディアにも囲まれた。「明日も今日、昨日のようなプレーができれば、優勝のチャンスがある」。通訳の助けを借りながらも、落ち着いた表情で言い切った。

 出るからには優勝を目指す-。松山の信念以上に、今回の舞台は重みがある。約2カ月の中断明けの米ツアーで、実力者だけが集う大会だ。ここで勝てば「MATSUYAMA」の名は一層上がり、今後の優勝争いに向けて“箔(はく)”がつく。メジャー優勝、最初の目標であるマスターズに向けて、絶好のジャンピングボードなのだ。

 昨年のクラウンプラザ招待では、最終日に崩れて10位どまりだった。取り囲む海外メディアの前で当時を思い出し、「(今は)ずっといいゴルフができている。あの頃は1つボギーを打つと、すぐに響いてしまった。今はもっとリラックスしてプレーができる」と、成長を強調した。この日も前日も、1番はボギー発進だったが、いずれもその後に8バーディーを量産と、ミスを引きずっていない。1番との相性についても「結果がそうなっているだけ。嫌だとは思っていない」と前向きだ。

 さらに「メモリアル(トーナメント)で勝った自信を、今回の優勝争いにつなげたい」と続けた。悔しい思いをした昨年のクラウンプラザ招待の翌週が、日本選手4人目となる米ツアー初制覇だった。今回の渡米前に「課題は小技」と話していた中、この日の1番はグリーン右林からの第3打がグリーンに届かず、第4打を1・5メートルに寄せてのナイスボギー。18番なども含めて、課題をクリアしたことが心強い。

 ◆現代自動車チャンピオンズ大会

 前身は53年に始まったトーナメント・オブ・チャンピオンズ(TOC)で、前年のツアー優勝者だけが出場できる大会。予選カットなし。99年からハワイ州の現コースに舞台を移し、シーズン開幕戦に。丸山茂樹は02年から3年連続で出場し、22位、25位、15位。今田竜二は09年出場で18位。11年から現代自動車が冠スポンサー。10月開幕となった13~14年からは中断明け、新年初戦の位置づけに。<松山の昨季V逸&初Vメモ>

 ◆クラウンプラザ招待

 首位タイで迎えた最終日、1番パー5で残り110ヤードの第3打が10メートルオーバー。9番で第2打が木に当たる上、1メートルのパットが入らず3オン3パットのダブルボギー。71(パー70)で3打差10位に終わり「3打が、自分と勝つ人との違い」。

 ◆メモリアル・トーナメント

 最終日は2打差3位から出て、9番終了で首位に並ぶ。単独首位で迎えた16番で池ぽちゃダブルボギーも、18番で4日連続のバーディー。ケビン・ナとのプレーオフにもつれ込み、第1打を左クリークに入れたナに対し、確実にパーにおさめて競り勝った。