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新弥のDAYS'

2006年01月01日更新

初日の出・江ノ島遠泳

<自分とスポーツを枠から解放しよう>

 明けましておめでとうございます。
 読者諸兄にとっても、今年が一段とすばらしい年であるよう、こころからお祈り申し上げます。

 人が生きている以上、完全な平和はあり得ないし、またいかに努力しても報われなかったり、仲違いが始まったり、不運が続いたりと、苦難から逃れることはできません。

 けれど、それに負けない強さが欲しいと思います。つかの間であっても、安らぎや平和、笑顔や安堵(あんど)を喜べる、心の豊かさがほしいと思います。

 YAWARAちゃんが、お子さんを出産したとのニュースは、まさに新年にふさわしい明るい話題となった。

 もちろん、だれにとっても自分の子や孫が一番かわいいのであって、YAWARAちゃんの子と言えども、わが孫よりかわいいということはないのだが(笑い)「母として金メダルを取りたい」という彼女の言葉は、すばらしい。

 女子選手は未婚者であるのが従来の常識にも思えたが、そうした既存の枠から飛び出していく人こそ、真の冒険者であり、すなわちスポーツ選手だと思う。

 人は、つい「ツーといえばカー」と、ぴんと来る既存の(自分が所有している)常識的イメージや価値観にとらわれたり、その「ぴんと来る」手際よさを自慢しがちだが、世界は広い。スポーツの宇宙はもっと広い。

 もっとスポーツを解放し、自由奔放にスポーツを遊びたい。2006年は、そんな年であって欲しい。枠に依存しない勇気を持ちたい。

 そうした「枠からの脱出者」たちは、その時代時代の価値観で人の評価は一定しないが、スポーツの実りををより豊かにしてきた真の貢献者だと思う。

 母(もしくは妊娠中)の五輪は、体操の池田敬子さん(東京五輪)スピードスケートの高見沢(現姓長久保)初枝さん(インスブルック五輪)ら、戦後にも例があり、初めてなどではない。

 このお2人とも、協会からはいい顔をされなかったが、強気で押した。「我を通して」の母としての参加だった。昔の女は強かったのである。男が強く、「いいから産め、一緒に戦おう」と励ましたからだ。既存の枠と戦うだけの勇気と度量があったからだ。

 スポーツは、あるいは人生は、何も束縛していない。
 束縛するのは人間同士であり、自分自身だ。我々自身だ。

 正月元旦、ここ数年の例にならって、江ノ島へ行った。ボランティアで参画しているNPOバディ冒険団(TEL:0466-25-4480)が「正月早々、馬鹿なことをしましょう」と呼びかけて、日の出とともに江ノ島1周の遠泳とカヌーを主催している。

 その主催スタッフとして、スタートに立ち会った。
 あいにく太陽が上るところは雲が厚くて見られなかったが、カヌー、遠泳、パドルボードなど、参加者約50人が一斉に江ノ島東浜から沖に向かっていく姿は、壮観で、荘厳で、力があふれていた。

 海中の方がやや暖かかったとはいえ、実にばかばかしいことで、終わっても誰も拍手してくれないし、「感動だよ」などとも言ってくれない。年配参加者も「そのお年で」などとは誰も驚いてくれない。

 ただ、やることはばかでも、やる人がばかとは限らない(笑い)。

 バディ冒険団では今年はオーシャンスイム(遠泳~)のシリーズ戦を組むことを企画している。是非、ご参加を。是非、スポーツかくあるべしの枠から飛び出し、脱走して頂きたい。

 筆者も、何が本当に自分やスポーツをしばり、何が虚像なのかを見極めたい。大きな世界に飛び出したい。作られた物、与えられた感動楽しむのはよいが、それに依存はしたくない。

 五輪やサッカーW杯だけがスポーツではない。

 豊かな2006年であって欲しい。

 日刊スポーツ本紙、ならびに当ニッカンスポーツ・コムを、本年もよろしくお願い申し上げます。

 <追> なお、年末の「フィギュアスケート」コラムの「順位交代」のなかで、「ソフトウエアが古かった」とあるのは、その後の協会発表などから「ソフト自体は古くなかったが、停電その他の混乱もあり、審判の手動入力(修正)が遅れたため」と訂正します。協会の不手際ではありますが、なお必ずしも担当者の人為ミスだけとは言い切れない部分を感じます。

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プロフィル
後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、59歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
 本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
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