このページの先頭



ここから共通メニュー

共通メニュー


ホーム > スポーツ > 新弥のDAYS'



新弥のDAYS'

2006年7月28日更新

スポーツの汚染

<ツールドフランスでも薬物疑惑が>

 女子サッカーのW杯予選で、不祥事が起きた。選手が主審に暴行、客席にもペットボトルを投げたという。

 残念だ。

 ジダンはFIFAが「良識的判断」を優先して、しっかりと処罰した。

 本来的に規則とか審判とかは役員や会長のためではなく、選手自身がスポーツをするために構成したものだ。自分たちのためにそこに置いた者(物)に暴行することは、すなわちその時点でスポーツでも選手でもなくなるわけで、競技団体はより明確な、厳しい措置を執るべきではないだろうか。

 慣習的に野球などでは「両軍入り乱れて」のけんか騒ぎがあるが、これとサッカーの審判への暴行とは次元が違う。

 同じように、サッカーでの選手同士の暴力も、もはやその時点でスポーツの圏外に自分から飛び出した結果だと言える。

 主審に暴行したチームは、その時点で大会から追放されるのが常識だろう。人種差別発言をしたチームも然り。直接のプレートと無関係な暴力ざたも、これに準じていい。

 競技によってニュアンスは違う。

 その「幅」は認めたいところだが、目先の「影響」を考えて、将来へのより大きな「影響」を軽視する対処は避けたいところだ。スポーツの根元精神を重視して、スポーツから自ら外れるような「スポーツではない」行為に対し、厳しい姿勢を保ちたい。

 自転車レースの「ツールドフランス」で、スキャンダルが起きた。

 最終確定ではないが、総合優勝した米国のフロイド・ランディス(30=ファナック・チーム)に、第17ステージ後の検査で薬物反応が出たことが分かった。

 ランディスは昨年まで7連勝を飾ったアームストロングの元同僚で、今大会も期待を集めていた。

 終盤第16ステージで大きく順位を落とし一時は絶望かと思われたが、次の第17ステージで奇跡的な走りを見せて区間優勝、結局20ステージを終えて8時間14分09秒で総合初優勝を決めた。

 ところが今週になって、チームが「陽性反応」を発表。ランディスは否定しているが、このままいくと失格、優勝取り消しになる。

 検査では筋肉増強剤のテストステロンが見つかったという報告で、A、B2つのサンプルがともに陽性と確認されれば、ドラマは思わぬ結末になる。

 W杯に続いて、メジャースポーツにまた汚点が残される

 サイクルスポーツの情報通に聞いてみると、ランディスは2003年に腰をけがしており、その痛み止めを使っている。また甲状腺の異常があり、その薬も服用しているとのこと。これが検査に影響したのではないか、との観測がある。

 甲状腺の薬がテストステロンの数値に影響した、という仮説だ。

 ランディス本人はむろん否定しており、「他の薬の影響」説を、フランス側がどう受け止めるかの問題になりそうだ。

 面白いのは、爆発的な力を出して前日総合11位から総合3位に上がった第17ステージの後の検査が陽性だったという偶然(?)だ。

 やっぱり、の声もあるのだが、筋肉増強剤は、即日効果がある物ではなく、第17ステージのパフォーマンスとの因果関係は、科学の常識では否定される。

 ランディスの栄光と潔白を信じたい。

 だが、ランディス以外にも、今回陽性反応を示した選手がまだいると聞く。

 薬物も、使用したらその時点で「スポーツの圏外」である。

 イタリア・サッカーの処分が当初よりはるかに甘くなった。「世論に影響された」といわれている。世論は大切だ。でもそういう世論に「スポーツ」は対抗しなくても良いのだろうか。世論は王様なのだろうか。

Thanks
 ご愛読に感謝申し上げます。すべてにご返信ができないため、整理の都合上、nikkansports.comの本欄、マスター及び筆者個人アドレスでは、コラム内容に関するご感想などのEメールは、現在すべて受付を中止しております。お詫び申し上げます。下記にご郵送ください。
 また、他ページ、フォーラムなどへの転載は、引用を含めて、お断りします。ご協力に感謝いたします。
 【郵送宛先】 郵便番号104・8055 日刊スポーツ新聞社 編集局 後藤新弥
プロフィル
後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、60歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
 本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
【 詳細プロフィルへ >> 】


このページの先頭へ