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新弥のDAYS'

2007年02月24日更新

もっと自由にも走ろう

 <東京マラソン大成功の次に望むこと>

 先週の東京マラソンが大成功し、3万人のランナーが口々に「感動した」と話し合っていたのは、すばらしい光景だった。

 一方では「あのような交通遮断が適切なのか(必要なのか)」「必ずしもベストのコーストは言えないかも」「世界選手権の予選などにひっかけず、ただ楽しみ的なイベントの方がすっきりするのでは」といった、非難や批判ではないが、前向きの論点を投げ掛ける向きも少なくなかった。

 以前から僕らも「トップランナーだけのショーマラソンだけでなく、一般市民が自由に走れるマラソンを」と、東京には希望していたいが、それは必ずしも行政主導を意味したわけではない。都のイベントではなく、ランナーのイベントに、都が理解を示して欲しいという意味だった。

 そのあたりに、いきなりトップダウンで「望んでいたもの」がどんと与えられてしまって、とまどいがあるのは確かだろう。

 別にフルマラソンである必然はないと主張する人もいる。。

 すでに町のスポーツは進み、マラソンという枠からはみ出して、100キロや24時間、あるいは「お弁当や景色も愉しみながら、みなでピクニック・ランをしよう」という<<マラニック>>などが盛んに、マスコミや行政主導ではなく、むしろ町の(田舎の)ランナーの手で行われ、楽しさと速度、厳しさを追求する時代に入っている。

 一般のメディアからはそれが見えないが、現実はそうだ。

 2007年からスタートする東京のランニングイベントであれば、そうした方向へ思い切って振ってもよかったーーそんな声もある。もっともだ。

 そうした声は、何もこの大会自体に反映されなくとも、別のイベントや、次の考え方に反映されていくだろう。東京マラソンについて、みながもう少し率直に、いろいろ話すことはマイナスではない。

 都や、スポーツが、それを前向きの材料に生かしていけばいいのだから。

 僕流に「なんて素敵なイベントだ」と感じたこともあった。

 ニューヨークやボストンでは、ゼッケンなしの飛び入りがけっこう多いのだが、実は今大会でも相当いたらしい。また仲間のゼッケンをコピーして一緒に走ったランナーも相当数いたようだ。計測チップがないから正式な記録には残らないが、時間ぐらいは自分でわかる。特に今回は雨だったため、ゼッケンの確認が難しく、「いんちきでもいいから走りたい」というランナーにはそれが恵みだった(?)。

 まあ、目くじらを立てず、「そんな連中もいたのか」ぐらいで、ここは笑って頂きたい。「ニューヨークに最も近かった点」が、そこだと指摘する人もいる。

 意外だったのは「東京って、こんないろいろな所があるんだと、見直した」「新鮮だった」とという感想が、ランナーに多かったことだ。

 ただし、「そういうことなら、日常的になんであちこち走り回らないの?」という疑問も出てくる。あまりにもハーフマラソンとかフルマラソンといった既存の概念、あるいはイメージ、あるいは「イベント」に自分のスポーツライフまで縛り付ける傾向がないだろうか。決まったコースで走る必要も、決まった距離を走る必要もない。決まった時間に走る必要もない。

 夜明けに走る、まっすぐ西まで走って電車で帰ってくる、浜辺を延々と走る。自分で考えて、自分でコースを決める。

 そうした「自動性(モビリティ)」も、走る仲間にもっと提唱したい。イベントのために毎日の走りがあるのではなく、日常に「自分の走り」があって、たまにイベントにも出る。そのような感覚の人が、もっと増えてもいいような感じもする。

 そんな方向性を主張するのが、前述のマラニックだ。タイムを気にしないで走りましょうという(これまた)イベントだが、1人ではなく仲間と走ろうというのも主旨だから、イベントであるのは当然だ(笑い)。

 本欄の読者の方から、遠山郷60キロのマラニックへの誘いがきた。

 歴史的な由緒もある、長野県南部の遠山郷で、4月14日に行われる。

 詳細はhttp://run-tohyama.com/をご参照願いたいが、東京マラソンとは対極にある、ランナー仲間が創ったイベントだ。

 人生が変わるかもしれない。

 (またこの3月4日には、湘南海岸では砂浜を6キロ(または3キロ)走るビーチランのシリーズが始まる。僕も手伝うことになっている。http://www.sports-buddy.jp/bud/07br-yoko.htm)

 もっと自由に走ろうという動きが、東京マラソンを契機にますます活発化していくかもしれない。枠を飛び出して、走り続けて頂きたい。

 でも僕は--短距離型なので--申し訳ないけど「風呂屋」です。(ゆうばかり)



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プロフィル
後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、60歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
 本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
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