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新弥のDAYS'
2007年03月18日更新沖山健司さんの正義感
<チェコ国際室内48時間走で2位入賞>
16日から行われていたチェコでの国際室内48時間レースで、日本のウルトラマラソン界をリードしてきたベテラン選手、沖山健司さん(42)が、アイルランドのトニー・マンガン(49)=世界新426・178キロ=に続いて412・909キロをマークして2位に入賞した。
連続して走り続ける上で、最も重要なのは一瞬一瞬、一歩一歩の集中力とよくいわれる。同時に、最後の最後に問われるのは、正義感でもある。
つまり、その他の力が同等なら、最後に勝つのは「金や名声」の雑欲にとらわれることの全くない、澄み切った心と体の持ち主なのだ。
沖山健司さんは昨年、けがなどで調子のよくないシーズンだった。今年の世界選手権日本代表の選考対象レースでもあった12月の「第1回神宮外苑24時間チャレンジ」にも出場することができなかった。
むろん知名度からも実力からも、沖山さんこそが日本有数の代表的選手であることは誰もが認めているところだが、選考の公平を期すためにはもう一度、「ふさわしい24時間の結果」を出しておくことが求められていた。
今回は48時間だったが、沖山さんは最初から意欲的なレースを展開し、24時間は途中経過でもあるにかかわらず、神宮大会のベストをはるかに上回る254キロをマークした。
沖山さんはウルトラ界の第1回世界選手権(2001年9月、イタリア・ベローナ)で254・856キロをマークして6位入賞を果たし、これが突破口となって関家良一さんらの活躍が後に続いた。
いわば一群の「ウルトラ戦士」のリーダー格でもあるのだが、今回の24時間途中経過はその時とほぼ同じ。
連絡をくれたウルトラ界の世話役・井上明宏さんによると「氷雨の屋外コースと冬でも半袖で走れる照明のある室内コースとでは条件も違いますが、250キロを超えているのは日本では有田、沖山、関家、大滝、黒田(今回出場予定でしたが、故障でサポートにまわっています)の5人だけです。複数回となると、有田、沖山、関家だけです」という偉業だった。
(ちなみに、レース中のエピソーを関家さんがブログで紹介している=http://plaza.rakuten.co.jp/skyrun)
結局、2位でフィニッシュ。自己の持つこのカテゴリーでの日本記録407キロを大幅に更新した。
12月の神宮大会の時、沖山さんは自分が故障で出場できず、無念きわまりない状態だったに違いないが、24時間ぶっ通しで他の選手の応援やサポートに回り、集中力の切れそうなとき、高揚してペースが上がりすぎるときに実に適切なアドバイスを送っていた。
現実には、他の選手の距離(記録)が伸びれば伸びるほど、自分自身の日本代表への道が遠ざかることになるのに、そうしたことは一切無関係で、心から応援し、健闘を祈っていた。
そして「僕も、来年はきっと頑張って、今日の距離を上回る結果を自分で出して見せます、まだまだ現役です」と笑っていた。
すごく心を打たれた。
今、日本はスポーツが盛んで、素晴らしい選手が続々と現れているが、「ショー多岐なフェアプレー」ではない、本当の(目に見えない)フェアプレーの精神を持った人が少なくなっている。いや実際は多いのかも知れないが、マスコミを含めた周囲がそこにあまり注目しないため、全体としては結果や華やかさ、人気などに注意が集まりすぎているような気がしないでもない。
そうした中で、沖山さんの今回の活躍は単なる感動を超えた価値がある。
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| 沖山健司さん | |
沖山さんは1965年6月3日生まれ。身長164センチ(体重58キロ)。
フルマラソンは2時間30分8秒だが、100キロは7時間2分45秒。6日間走は708キロにも達している。
昨年、「自分が速くなることも大切だが、先にこの領域に踏み込んだ者として、後に続く人たちがもっともっと多くなり、私たちと競り合って、追い抜いて、世界の第一線に並んでくれることの方がもっとうれしい。そのために、まだまだ走り続けて、壁になりたい」と話していた。
口では、なんとでも言える。
頭でそう考えることは、誰でもできる。
しかし追い込まれた土壇場でも、そういう信念を持ち続ける人は、実は少ない。
沖山さんはそういう人だ。
身体の奥の奥に、正義感という名の芯を持った人だ。
http://park16.wakwak.com/~ultrakenzi/
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- プロフィル
- 後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、60歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
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