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新弥のDAYS'
2007年04月20日更新もう1つのメダル
<バレーボール元五輪代表が難民支援>
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ネパールのダマクで、4日から6日まで、ユニークなイベントが開かれた。
モントリオール五輪の女子バレーボール金メダリスト3人(白井貴子さん、矢野廣美さん、そして金坂克子さん)らが、サッカー場12面に特設されたバレーボールコートを使って、ネパール系ブータン難民の人たちに直接指導をした。
7つのキャンプから200人がこの教室に参加し、最後は地元のネパールチームも加わって合計29チームによるリーグ戦を行った。
参加した矢野さんは、自分たちのブログ(NPOバレーボール・モントリオール会)で、こんな内容の感想を載せている(要旨)。
『金メダルとそのための強化だけを目標に猛練習に明け暮れた現役時代。自分の中でバレーボールは辛く苦しく我慢するもの、そして何より絶対に負けてはいけないものでした。そんな私が「楽しむバレー」を、しかも難民の人たちにどう伝えるのか、正直自信はありませんでした・・・』。
けれど。
『日本では常に、無いと言ったら嘘になるメダリストとしてのプライドがネパールに入っていつからか消え、素の私になっていました。難民の女性たちと一緒に、跳ねて、転んで、ボールを追いかけて、まさに自然体でバレーボールを楽しむことができました。 今思えば、私が彼女たちから「楽しむバレーボール」を教わったことに気がつきました。 キャンプのみんな、「ありがとう!」って心の中で叫んでいます』。
(以上、以下のHPより紹介。是非訪問してください http://montreal.sports.coocan.jp/damak.html)
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同HPによると、ブータンから逃れたネパール系の難民10万余人が現在7つのキャンプで避難生活をしている。白井貴子さんらが運営するNPOでは、当初「救援物資を送りたい」という意向で現地に打診したところ、「出来るなら心の支援を。バレーボールの指導を通じて、人々の心に希望と勇気を与えてはもらえないか」との返事だった。
周囲の支援も得て、現地で肌を触れ合って教室を開くことになったそうだ。
立派だったと思う。
矢野さんも「初めてバレーボールが分かった気がした」といった主旨のことを書いておられるが、人々と心を通わせることこそスポーツの重要な要素。モントリオールで金メダルを取った彼女たちが、もう一つの大事なメダルを自分たちの手で獲得したことに、拍手を送りたい。
10日に帰国した関係者から「予定通り、やってきました」との連絡があった。
率直に言って、難民などへの支援プロジェクトには各種あり、中には「誰のためのイベントなの」と疑いたくなるような(鳴り物が大きすぎる?)ものもある。
今回のプロジェクトは宣伝めいたこともせず、マスコミのあおりを利用することもなく、「現地の人と実際に触れ合うこと」が最優先とされていたようだ。
だからこそ、彼女たちも「もう一つのメダル」を持ち帰ることが出来たに違いない。
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詳細はブログを参照して頂きたいが、現地では女子が恥ずかしがってあまりスポーツをしなかったとのこと。そこへ「五輪決勝前夜は麻雀でくつろいだ」というタフな女性たちが乗り込んで「さあ、楽しく、皆でやりましょう」と騒いだ(失礼!)ことは、現地の人々にとっても大きなカルチャーショックになり、今後の女性のあり方にも、大きなステップとなったのではいだろうか。
またネパールの地元の人々と難民との間にも、微妙な溝があったとか。それをも(たとえ一瞬でも)バレーボールのゲームを通して埋めることになったのは、スポーツならではの効果だった。
実に素晴らしい体験であり、貢献だった。
うらやましいほどである。
スポーツは自分自身の内側の行為であり、そこにのめり込み、実践する人ほど(たとえ五輪レベルではなくとも)プライドや嫉妬に悩まされ、自分の心の整合に悩まされるものでもある。
けれど、「他人のために」という別の角度からのアプローチによって、スポーツはそれぞれの内側で新鮮な、本来あるべき美しい炎を再び輝かせる。
今回の難民キャンプ支援プロジェクトが、その好例だろう。
スポーツって、すばらしい。
筆者も、今思いを新たにしている。
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- プロフィル
- 後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、60歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
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