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新弥のDAYS'
2007年12月10日更新「そしてボールは空に舞う」
<テレビ朝日のドキュメント番組に期待>
今年3月、モントリオール五輪女子バレーボールの金メダリストたちがネパールの難民キャンプを訪れ、自ら汗を流して子らにコーチした話は、本欄でもすでに紹介した。
年末、テレビ朝日系列でこれがドキュメント番組で放送される。
「そしてボールは空に舞う」
12月23日(日) 日本全国 BS朝日 午後11:00から
12月28日(金) 東海3県(愛知・三重・岐阜)メーテレ 午前9:57から
12月29日(土) 関東地区 テレビ朝日 午前4:55から
http://vbmontreal.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_fc63.html
マスコミが扱う、いわゆる「難民キャンプもので」の中には、ありがちな話や涙を(作り事ではないにせよ)売り物にして、結局のところ「訪れた人」の宣伝にすぎないような「うさんくさい話」も少なくない。
けれど今回の話は「難民キャンプ」の真実を伝えるだけでなく、バレーボールの金メダリストたちが子らに「何をあげたのか」ではなく、詰まるところ「何をもらって帰ってきたのか」が最終テーマになっている。
これは、スポーツと社会の関係を考える上でも貴重な視点だろう。
最近はスポーツが社会にやたらと「サービス」し、スポーツの競技者としての本来の姿を取り違えているような風景もよく見かける。一方で、スポーツの側が社会に対して何を本当に負っているのか、担うべきなのかが、なおざりにされている。
たとえば陸上の選手が、試技の前に手拍子をスタンドに要求し、スタンドがこれに答えて拍手をする。一見「選手と客席のドラマチックな心の交流」にも見えるが、(年老いても現役の)陸上競技者(選手)の1人としては、こんなのは交流でもなければドラマでもない。そもそもが規則違反である、という意見も少なくない。
是非はともかく、こうした「サービス」ごっこがあまり行き過ぎると、本当のドラマや、挑戦や、応援の気持ちが陰に隠れて、スポーツと社会の関係が間違った方向に加速してしまう懸念は確かにある。
以上はたとえ話だが、
スポーツとは何か、社会との関係とは何かを考え直してみる起点として、本欄推薦番組とさせていただきたい。
<<内容>>
ディレクター=㈱テレビ朝日 編成制作局アナウンス部 宮嶋泰子
今から30年前のモントリオール五輪、女子バレーで金メダルを獲得した選手たちが、昨年NPOを立ち上げ、社会に恩返しをしようと動き始めた。いずれも50歳を過ぎ、子どもたちにバレーを教えるなどしながら地道に地域貢献をするつもりであった。そんなよちよち歩きのNPOに思いもかけない話が舞い込んだ。国連難民高等弁務官事務所から「難民にバレーを教えてくれませんか」という誘いが来たのだ。
「ええっ? 私たちが難民支援?」戸惑うメダリストたち。話はとんとん拍子に進み、早稲田大学ボランティアセンターもこのプロジェクトに参加してくれることが決まり、金メダリストのおばちゃんたちは学生ボランティアと一緒になってこの難民支援を行うことを決意した。2007年4月にネパール・ダマクキャンプで始めてボールを手にする難民を相手にしたバレーボール教室と、小さな大会が日本人ボランティアたちの手で開かれる。
世界で初めて行われたオリンピック金メダリストによる難民にスポーツを直接教えるというこのプロジェクト。果たしてバレーボールは難民キャンプに根付くのか。その後のキャンプでの様子も随時追跡取材しながら、金メダリストや学生たちが経験する初めての国際ボランティア活動を通して見えてくる、人間の生きる苦悩や幸せ、喜びを描く。
なお制作担当の宮嶋泰子さんからも、以下のようなメールをいただいている。
「30年間スポーツを取材していて、ここ数年ちょっと不安に思うことが多くありました。スポーツと言うものは、政治に利用され、金儲けの手段として利用され、その本質が非常に見えにくくなってしまっているように常々感じていました。『本来のスポーツの持つ力や姿』を探してみたい、その思いが、この番組を作る基になっています。
衣食住が大変な難民キャンプでスポーツでもないでしょうと思われる方も多いでしょう。
しかし現実は、違うのです。彼らはキャンプというケージに入れられ、自由に移動もできない難民です。
だからこそ、スポーツの持つ開放感やスポーツを通してのコミュニケーションがとても重要であることが、はっきりとした形で浮かび上がってきたように思います。
メダリストが教えに行った2ヶ月後、テレビクルーだけでキャンプの様子を取材に行ったとき、村の広場で子供たちがバレーパスをしながら遊んでいる様子を目にしました。
あの時の感動は忘れることができません。
この取材を通じて、『スポーツは人間を人間足らしめるとても大切なものの一つ』であると改めて感じています」。
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- プロフィル
- 後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、61歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
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