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後藤新弥の「スポーツ&アドベンチャー」

2007年1月5日更新

日米通信制? 初泳ぎ

 <ばかなことをフロリダでも始めた>

 毎年恒例、江の島1周の初泳ぎを今年もやった。



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 筆者は泳ぎが不得意なので、主催の側に回ったが、「ばかなこと」に真剣になる約30人が1月1日午前6時、大橋の下に集合した。カヌー、ウエットスーツでの泳ぎ、水着だけでの泳ぎと人それぞれだが、地元のライフセーバーに護られながら、午前6時52分に片瀬海岸東浜を灯台目指して出発した。

 5分後に太陽がしっかりと姿を現した。

 毎年、ここから観る初日の出は力強いが、今回は「優しさ」も感じた。

 いじめだ何だと、「そこまでのつもりもなかったのに」人を傷つけ、自分も傷つくことの多かった前年の世相を考えると、慈愛に満ちた太陽に拍手と感謝、祈りを捧げたくなった。

 ドーバー海峡にも挑戦した西郡美樹さん(25=システムエンジニア)が江の島1周を1時間6分でゴール。一昨年泳いだ時よりも相当に早くなっている。

 潮の関係もあるのだろうが「最近やってないのにスムーズになった。泳ぎが変わったのかも」と喜んでいた。

 灯台往復、約1キロだけの人もいた。

 苦しくて、上がってから吐いた人もいた。

 背中をさすったら、笑い返して「いやあ、寒かったですよ」と元気。なんとも思っていないようだった。

 そういう人が好きだ。

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この馬鹿なことを、今年から米国でも始めた。

 マラソンスイミングのプロ、松崎裕子さんがこのイベントのことを知って「フロリダでもやりたい」と、基点のオークランドの湖で初泳ぎ参加者を募集。13人が集まったそうだ。

 午前8時開始。当日は曇りで太陽は出なかったそうだが、日本の気温1度水温10度に対して、こちらは気温水温とも20度。うらやましい環境だ。「いつもの練習に使う湖で片道約1キロ」を往復泳いだそうだが、日によってはワニが出るというから、そこは差し引きゼロだ。

 松崎さんのメールを紹介しておこう。

 ちなみにラッキーさんというのはマスターズ水泳の世界選手権者で49歳、マスターズの200メートル自由形世界記録保持者(35-40歳の時)。ヨーヨーを世界一たくさん持っている人としてギネスレコードにも載っている有名変人?だ(皮膚科のドクターである)。泳いだ場所はオーランドのレイク・ケイン、ユニバーサルスタジオの横という。

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 <一部省略>

 ~~10年ほどアメリカに住んでいるが、近所でお正月というイベントを見たことがない。どうやらここではクリスマスがビックイベントらしい。~~ラッキーさんの横で「ジャパンではニューイヤーに“初泳ぎ”というイベントがある」と話すと「ほう、その“はちゅ~よよぎ”とはなんだい?」代々木? まぁよい。さすが水泳人。他国の水泳事情にも興味があるようだ。「レースではないのでペースは自由。フェイスはスマイルでエンジョイするのがいい。スイムをしているとホライズンからハツヒノデゴッドが顔を出す。そうしたらハツヒノデゴットにカシワデパンチし、ファミリーのヘルスやレースのサクセスを祈る。その後ビーチに戻りゴージャスなしるこスープを飲む」…英語の苦手な日本人が日本の文化を説明するとこんな妙ちきりんになる。しかしラッキーさん「素晴らしい!ぜひやってみよう」。

 ~~大みそ日の真夜中12時、花火を見ながら「ハッピーニューイヤー」と叫んで新年を祝う「カウントダウン」という超夜更かしイベントがある。早起きのイベントは夜更かしの翌日には辛い。辛いイベントは続かない。「8時スタートにしよう」なんでも自由にするがよい。

 ~~2007年1月1日。天候曇り。湖に行くと「1・2・3・…13」おぉ13人も! 普段冬場の朝練はせいぜい集まって4人だ。それが今日は13人。これはメーターの針が振り切れたといっていいほどの大集団だ。最高齢はジーナ75歳。最年少はライアン21歳。年齢も程良くばらついている。

 ラッキーさんはシャンペンをダイビングのタンクのように背中にくくりつけ「初泳ぎをシャンパンで祝おう!」。マークはゴーグルに国旗をはためかせていた。マイクはワニ遭遇時用護衛ナイフを持参してきた。

 ~~メンバーの中に大学水泳部の選手が2人。こういうのが混じると私の場合途端に鼻息が荒くなる。「新年早々負けてはならぬ」もちろん大学選手の方も「新年早々女子選手に負けては悔しい」。初泳ぎが初レース化した。。もう対岸まで全力だ・・・「初泳ぎとは疲れるものだ!」そして往復とも男性選手に勝った・・・「初泳ぎとは気持ちがいいものだ!」。後はジャグジーの中で、シャンパンで乾杯した。

 フロリダの連中も相当にばかである。

 今年も、ばかをよろしく。

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 【郵送宛先】 郵便番号104・8055 日刊スポーツ新聞社 編集局 後藤新弥
プロフィル
後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、60歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
 本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
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