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後藤新弥の「スポーツ&アドベンチャー」
2008年01月10日更新「谷川真理Hマラソン」で2年連続先導役
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| がらくたの谷間で深夜のローラー台青あざ特訓。両手放しは極度の集中力が必要だ(長谷川文撮影) |
暮れから正月はローラー台で「両手放し」の秘密特訓を続けている。13日に「谷川真理ハーフマラソン」が東京・荒川河川敷コースで行われる。昨年に続いて女子の部の自転車先導を依頼された。名誉なことだが、自転車は自己流で、旗振りなどで手を放すとすぐによろめく癖がある。基本ができてない。最新の測定装置「SRM(ショーベラー・ラート・メス)」で急きょ欠点チェックを受け、深夜のローラー台で「正確なペダリング」基本マスターに挑戦中。青あざ大冒険だ。
お正月返上で…
資料を詰め込んだ箱が、自宅の半地下駐車場の壁際に積んである。それに手をついて体を支え、ローラー台に置いた愛車にまたがる。手を放してこぎ始める。
太い金属のローラーが後輪用に2本、前輪用に1本。この上でこぐと、実際に道路を走るのと同じように車輪が回る。1分間100回転、時速35キロぐらいで走り続ける。止まると倒れるから休めない。10分ほどで汗だくになる。
競輪選手ならこの程度はウオームアップだが、素人には極度の集中、生きるか死ぬかの真剣勝負だ。裸電球1つ、真夜中に無言でこいでいると、自分でも怪しげな姿だと思う。怪しさを通り越して狂気に近い。
そこからさらに、ハンドルから両手を放すのだ。腰を入れて、思い切って「自立」しようとするが、怖い。大転倒はないが、倒れまいと踏ん張るたびに体をあちこちぶつける、痛い。
片手放しで蛇行
自転車など自己流でいいのだと決めつけていたら、先導を引き受けた昨年の「谷川真理ハーフマラソン」で赤恥をかいた。左手で旗を出しながら、寒気に長々と垂れて始めた鼻水を右手でぬぐったら、自転車がぐらぐら揺れた。沿道の子に笑われた。実は一方の手を放すだけでも蛇行する。
「さすが陸上競技のシニア選手、先導の技術は立派だが自転車は未熟です。ペダルを力で踏みつけるからバランスが悪い。もっと滑らかな回転を」。男子先導のMTBプロ、山口孝徳さん(33=スバル・プロライド)に諭された。
踏みつけずに回す? 分かるような、分からないような。いいかげんな乗り方を続けていたら12月初旬、また依頼状が来てしまった。このままではやばい。
基本技を再履修
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| アマンダスポーツでドイツ製の「SRM」に乗り、千葉さん(左)の指導を受けた |
北区田端のアマンダスポーツに「SRM」という科学トレの最新兵器がある。自転車の製作者としても著名な千葉洋三さん(67)にこれを使った即効指導を依頼した。基本技の再履修。
固定自転車をこぐと、回転数やこぎ方の特性がオンタイムで画面に表れる。千葉師匠の指摘。「この曲線が左足、これが右足。力むから右だけ出力(トルク)の山が突出し、左右のバランスが崩れている」。
自分の欠点を直視するほどいやなことはない。科学は意地悪だ。
もっとも、その一線を乗り越えて素直になると問題解決は早い。画面の曲線を注視して無心でこいでいると、自然に左右の曲線が劇的に整い始めた。精神集中による「フィードバック効果」なのだろう。「踏む」のではなくペダルを「回す」感覚がつかめてきた。
科学はすごい。
汗と涙と青あざ
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| SRMの画面。左半分が左足、右が右足の出力(トルク)曲線。力むと右が極端に突出、バランスの悪さをオンタイムで直視させられた |
山口選手に報告したら「そこが分かったら、オフトレはローラー台が一番。台上で両手が放せるぐらいになれば初級の免許皆伝だ」。幸い、悪友に借りたさびたローラー台がある。「あの感覚」を忘れないうちにと、暮れから特訓を開始した。台上で走れるまでに2週間。両手を放せるまでにさらに1週間。汗と涙と青あざの大みそか。
正月の3日になってから、やっと両手放しを数分間続けられた。基本技の追試はなんとか合格しそうだ。何があっても今年はよろめくまい。両手のガッツポーズで沿道の大観衆に応えよう。
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【郵送宛先】 郵便番号104・8055 日刊スポーツ新聞社 編集局 後藤新弥
- プロフィル
- 後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、61歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
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