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新弥のDAYS'
2008年02月18日更新大相撲も薬物検査を受ける
<やるなら本気で、世界基準に完全合致を>
~~異論・半論・少数意見かもしれませんが、これがおやじ的本音です~~
大相撲も「薬物禁止」に踏み切る計画だと、先日発表がありました。
今、世界のスポーツが、五輪だ何だに限らず一斉に「たった1つの基準」を目指して動き始めています。
従来は五輪に関わる競技だけが厳しい態勢をとっていましたが、米大リーグもようやく本腰を入れて薬物追放に動きだし、あの名投手クレメンスが「使った」「使っていない」で大騒ぎになっています。
アメフトは別だ、モータースポーツは別だ、といった甘い観念は、もう通らなくなりつつあります。
もちろん、競技ごとに「検査方法」には違いがありますが「抜き打ち」を含め、目標とする基準はたった1つで、「うちは特殊なスポーツだから」という勝手な独自基準を設定しては、薬物追放の意味がなくなります。
このプロジェクトに各国政府も賛同し、各国の伝統競技や、それこそ「特殊なスポーツ」も、いずれ全面協力をする方向が決まり始めました。
従って、大相撲も「猶予期間」とか「特殊なスポーツ文化なので一から十まで他と同じにはできないことをご理解願う」などという態度は初めからやめて、やるならやる、やらないならやらないと、潔い姿勢を示すべきでしょう。
むろん、当初は戸惑うばかりと思います。
風邪を引くと厄介です。
ほとんどの市販風邪薬に含まれるエフェドリン(系)の薬品も、以前とは違ってやや緩やかな設定にはなっていますが(どんな微量でも陽性ならアウト、から、許容基準値を判定に使うように変更)それでも抜き打ち検査のときにたまたま風邪をひいていて風邪薬を服用していれば、たとえ3カ月でも「資格停止」は免れないことになります。
選手向けには「1週間あれば痕跡は消える」といった説明も内々にあるようです。これは現在の五輪関係競技の抜き打ち検査が、欧米に遠征したときに行われ、国内では行われないのが普通(詳しいことはよく分かりません)という実情を踏まえての「説明」のようです。競技選手は試合や、海外遠征(練習・合宿)の際には少なくとも1週間前に服用を中止せよ(それまでは大丈夫)という現実的な説明です。
もっとも、大相撲が本当にこの「世界基準」を受け、実行するとなればこうはいきません。
風邪を引いたら、ドーピングに詳しい医師に相談しなければなりません。
事前に「気管支炎だから」といった正式な医師の届けを出せば陽性でもアウトは免れることになっていますが、このあたりの「免責」方法や基準が最近は大きな議論呼んでいます。
ある競技では、チームの選手全員が気管支炎だから全員がエフェドリンを服用しているという申請を、ある国が出したことがあり、内々の話ですが大変な問題になったことがあるそうです。全員はおかしい、という意見に対し、関係者は「零下20度で激しい練習をすれば、誰だってのどが焼ける。寒い国の現実を知らない人には、文句を言う権利はない」と反論したと聞いています。また聞きの話ですから詳細はよくわかりませんが、そういうことがあったのは事実だと思います。
「病気の治療中の選手」が禁止薬物を使う際、医師の申請でどこまで、何を許容するかが、これからの争点の1つでしょう。
いわゆる「検査」「検査逃れ」のいたちごっこの主戦場になりそうな感じです。
クレメンス投手の場合、状況からみて「どう見ても」シロ、もしくはクロという印象がありますが、選手が「使っていない」といくら宣誓しても、陸上女子100メートルのマリオン・ジョーンズのように、「あれもうそだった」と後で認めるケースも多々あります。選手の宣誓など、ほとんど真相究明の要素にはなり得ないのが現実で、長い時間がたって、利害関係がある程度決着をみた後(稼げるものはすべて稼いでしまった後)でないと、なかなか本当のことは分からないのが通常です。
ただ、「今使っている」のか、その競技の世界が禁止薬物の追放に本腰を入れるようになる前に使っていたのか、同一に扱うことには疑問があります。
クレメンスやボンズなどの場合、スケープゴートとしての役割を社会的、歴史的に背負わされることは、その知名度からしてもやむを得ないでしょうが、それでも見方によっては少し不公平で、気の毒な印象もあります。
陸上競技などとは薬物に対する全体の認識が薄かった世界だけに、もう少し「今後」に重点を置いた処し方を、と望むファンも少なくないでしょう。
ある意味で、それに賛成です。
だって監督やトレーナー、コミッショナーだって、真剣に取り組んでいたとは、思えない部分があるのですから。
人を罰するのも重要ですが、その前に大リーグ全体が処罰を受けるべきかもしれません。つまり、全体の反省です。
大リーグが米国五輪委員会らとともに10億円の基金を拠出して薬物対策のための独立組織を作ることを決めたのは、つい先日のことだ。
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- プロフィル
- 後藤新弥(ごとう・しんや) 日刊スポーツ編集委員、61歳。ICU卒。記者時代は海外スポーツなどを担当。CS放送・朝日ニュースターでは「日刊ワイド・後藤新弥のスポーツ・online」(土曜深夜1時5分から1時間。日曜日の朝7時5分から再放送)なども。
本紙連載コラム「DAYS’」でミズノ・スポーツライター賞受賞。趣味はシー・カヤック、100メートル走など。なお、次ページにプロフィル詳細を掲載しました。
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