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順大今井また区間新/箱根駅伝

順大5区今井は4人抜きの快走で3年連続の区間賞でゴール(撮影・鹿野芳博)
順大5区今井は4人抜きの快走で3年連続の区間賞でゴール(撮影・鹿野芳博)

<第83回箱根駅伝>◇2日◇往路◇東京~箱根(5区間108キロ)

 箱根の最強クライマーが3年連続で伝説をつくった。山登りの5区で順大の今井正人(4年)が、トップの東海大から4分9秒差の5位でたすきを受け取ると、4人をごぼう抜きして2年連続で往路優勝のテープを切った。昨年出した区間記録を25秒も縮める1時間18分5秒で、同区の3年連続区間賞を達成。最終学年で有終の美を飾り、今春からトヨタ九州でマラソンに挑戦する。順大は今日3日の復路で、6年ぶりの優勝を目指す。

 神業といってもおかしくない。最強クライマーが、歴史に残る走りで最後の箱根を制した。2年連続区間賞の今井とはいえ、4分以上の差をひっくり返してしまうとは、だれも思わなかっただろう。箱根のスターだった早大の渡辺監督も「山の神です」とうなるしかなかった。

 山登りの5区。「自分にはここしかないので」。今井はゴール後、照れくさそうに言った。小田原中継所でたすきを受け取った時、トップの東海大とは4分9秒差の5位。さすがに今井自身も「届かないかな」と思った。しかし、日体大の北村に食らいつかれてエンジンがかかった。最大傾斜角11度の9・5キロすぎ、大平台前で北村を振り切り、東洋大の釜石を抜いて2位に浮上。歯を食いしばり、16キロ地点でトップを走る東海大の石田を一気に抜き去った。主将としての責任を見事に果たした。

 5区では史上5人目の3年連続区間賞。05年の11人、昨年の5人と合わせて、3年間で合計20人を抜いた。最終学年の今年は天候にも恵まれ、区間新で「山登りの今井」の強さを実証した。順大の先輩で79、80年の5区区間賞の山梨学院大の上田監督も「想像を絶する走りだった。完全に別格」と驚いた。同監督は今井の山登りに耐える精神力を絶賛。これまでの筋肉質の山登りランナーと違って「細身でヒタヒタと走る見かけ以上に、体幹の筋肉が強い」と指摘した。

 日本陸連の女子長距離、マラソン強化部長の金哲彦氏(早大で85、86年5区区間賞)は「山を同じペースで忍者のように登れる。弾まない省エネの走法が坂道で生きている」と分析。昨年、順大で4区の区間新を出した村上康則(現富士通)は「ロスが少なくて、疲労度を示す乳酸値も低い」と証明した。今井は同じ練習をしてもチームメートと比べると、乳酸値は平均4分の3程度。さらに今年はクロカン練習で、左右のバランスがよくなったという。

 会見後、今井は「来年があっても、もう山登りはいいです。本当は2区を走りたかった」と本音を漏らした。今春からはバルセロナ五輪マラソン銀メダルのトヨタ九州、森下広一監督と組んでマラソンに挑戦する。トラックでは1万メートル28分57秒が自己ベスト。27分台が必要とされる現代のマラソンで、スピード不足は自覚している。瀬古利彦氏も「平地では、腰が高く、キックが強い走りが必要」と指摘する。しかし、山登りで次元の違う走りを見せた潜在能力は計り知れない。今井が日本男子マラソンの救世主になる可能性は十分ある。【佐藤智徳】

[2007年1月3日9時10分 紙面から]

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