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順大が2年越しの完全優勝/箱根駅伝

ゴール前で待ち受けた順大主将の今井は、最高の笑顔でアンカー松瀬に抱きついた(撮影・宇治久裕)
ゴール前で待ち受けた順大主将の今井は、最高の笑顔でアンカー松瀬に抱きついた(撮影・宇治久裕)

<第83回箱根駅伝>◇3日◇復路◇箱根~東京(5区間109・9キロ)

 順大が2年越しの完全優勝を成し遂げた。往路の5区で今井正人(4年)が稼いだ1分42秒の貯金をさらに広げ、11時間5分29秒で6年ぶり11度目の優勝を果たした。往路を制した昨年は8区でブレーキを起こして総合4位に沈んだが、今年は9区の長門、10区の松瀬が連続区間賞を獲得。2位日大に6分13秒差をつける圧勝だった。10人中6人を占める4年生中心のチームで、89年大会以来の完全V。出場50回目の節目の大会を飾った。金栗四三杯(最優秀選手)には3年連続の今井と、1区で区間新記録をマークした佐藤悠基(東海大2年)が選ばれた。

 最終ランナーの松瀬が大手町のゴールへ近づくにつれて、順大の校歌が大きくなった。6年ぶり総合優勝の立役者、今井は笑っていた。前主将の難波祐樹(現JALグランドサービス)は、既に選手の後方で号泣していた。松瀬が優勝テープを切ると、小柄な仲村監督は胴上げに引っ張り出されて、もみくちゃになった。

 この瞬間を、2年間待っていた。主将の今井は「昨年、アクシデントに見舞われた難波さんが、たすきをつないでくれて。それを優勝までつなぎました」とかみしめるように言った。9区の区間賞、長門は難波に抱きついて離れなかった。昨年、難波は8区で脱水症状を起こして失速し、優勝を逃した。チームはこの1年、自分たちに泣いてわびた前主将の無念を晴らすために走ってきた。

 主将を引き継いだ今井が、前日の山登り5区で執念を見せて往路Vを達成した。1分42秒差の貯金をもらって、復路のメンバーは完全Vへさらに燃えた。仲村監督は後続の追走に「6、7、8区で少しひやりとした」と言うが、危なげなくたすきを渡した。そして期待された9区の長門が区間賞、さらにアンカーの松瀬は区間新記録で、仲村監督が掲げた「攻めの駅伝」を実践。長門は沿道からの「難波を男にしてやれ」という声援に奮い立った。

 チームの中心となる6人の4年生は入学時から、優勝を期待されていた。今井はこの1年間「個性が強いチームなので、自己主張がわがままにならないように注意した」という。ただ彼らには共通の目標があった。「仲村監督を男にする」。4年前の新人合宿での誓いを果たすのは今年しかない。その思いがチームの結束を強めた。仲村監督は山登りで順大の黄金時代を支え、18年前の完全Vメンバーでもある。練習方法、個人の相談など、何事も柔軟に対処してくれる兄貴的存在だが、01年の大会後に就任して以来、優勝がなかった。今井は「最後に約束をかなえられて良かった」と話した。

 順大は他校に先駆けて、血液の乳酸値検査など医科学的データをトレーニングに導入してきた。そして、今回は監督と前主将に恩返しを誓い「おとこ気」で名門復活を果たした。50回連続50回目の節目の出場を89年大会以来の完全Vで飾った。戦国駅伝と呼ばれる現代、王座を守り続けるのは厳しいが、今井らが残した熱い順大魂は脈々と後輩に引き継がれる。【佐藤智徳】

[2007年1月4日8時55分 紙面から]

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