駒大3年ぶり6度目の総合V/箱根駅伝
- 3年ぶり6度目の総合優勝のゴールテープを切る駒大10区の太田
<第84回箱根駅伝>◇3日◇復路◇箱根-東京(5区間109・9キロ)
王者駒大がよみがえった。8区で区間賞の深津卓也(2年)が往路優勝の早大との差を縮めて、9区の堺晃一(4年)が逆転。復路を制し、最後は独走の11時間5分で、4連覇を達成した05年大会以来となる3年ぶり6度目の総合優勝を飾った。層の厚さを見せつけ、深津ら2年生トリオを中心に、再び黄金時代に突入する。関東学連選抜が大健闘の4位。往路の順大に続き、東海大、大東大が途中棄権する大荒れの大会になった。
じわじわと早大を追いつめた駒大が、復路のエース区間9区でついにトップに立った。堺は2・6キロで早大・三輪(3年)をかわすと、8・4キロで下り坂を利用してスパート。粘っていた相手を一気に突き放した。その貯金をアンカーの太田(3年)が堅実に運ぶ。東京・大手町のゴール前では、選手が肩を組んで待っていた。その輪の中へ太田が駆け込み、3年ぶりの箱根制覇が決まった。
最後は2位早大に2分29秒差をつける圧勝。大八木弘明監督(49)は「優勝候補の重圧を、よく選手がはねのけた」と興奮気味に話した。過去5回の総合Vは、いずれも復路を制して達成。今回も他校を圧倒する層の厚さで、計算通りに逆転をかなえた。7区の豊後(4年)そして8区区間賞の深津で15秒差まで迫り、堺で逆転。2年生トリオの深津と、後輩の活躍に刺激を受けて成長した豊後、堺の4年生で復路を制した。
3年前の4連覇達成時にメンバーだったのは藤井だけ。当時8区の沿道で声援していたという堺は「自分、そして後輩に優勝を味わってもらいたかった」と自らの手で念願をかなえた。高校時代は近畿大会5000メートル8位が最高成績。00年の初V当時、駒大は堺のような無名の「雑草軍団」が長い距離を走り込み、粘り強さで勝った。
しかし4連覇(02~05年)で、スピードのある実力選手が入学するようになり、大八木監督は「おごりも出ていた」と振り返る。一方で、常勝の使命感にチーム全体が心身ともに疲弊した。06、07年と優勝を逃して、チームは「原点」「挑戦」などをテーマに出直し。5000メートル13分台の2年生トリオが入学した昨年度からは、伝統の走り込みにスピード練習も課して、チーム全体の底上げを図った。今季は5000メートル13分台を6人そろえ、堺ら長い距離に強い選手とバランスよく配置できた。
近年のスピード化にも対応して、駒大は「万能型」に進化。安西主将は「新たな黄金時代の始まりです」と威勢良く宣言した。来年は再び、早大との優勝争いが予想される。大八木監督は「早大が注目されるが、地味なうちがパチンと勝てば面白い」と不敵に笑った。【佐藤智徳】
[2008年1月4日9時6分 紙面から]
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