<第85回箱根駅伝>◇3日◇復路◇箱根-東京(5区間109・9キロ)

 利府(宮城)出身で、大東大6区の佐藤匠(4年)が、59分14秒で区間賞を獲得し、総合4位で6年ぶりのシード権獲得に貢献した。9位でスタートしたが、箱根の山をスピードに乗った走りで一気に駆け下りた。3人抜きの6位でたすきをつなぎ、喜びを爆発。04年に全国高校駅伝に出場した仲間の存在を刺激に、快走。大勢の東北出身者とともに、箱根路を駆け抜けた。

 箱根の下り坂を、一気に駆け下りた佐藤匠は、小田原中継所で、笑っていた。20・8キロを疾走する間に、力を振り絞り3人を抜いた。口を大きく開き、肩で呼吸をしていたが、最後の箱根で獲得した区間賞に、充実感でいっぱいだった。「いい走りはできたから、元気いいですよ」。母校の仲間が4位で東京・大手町のゴールに駆け込むと、仲間とはしゃぎまくった。

 佐藤匠と同区間で走った中大の山下隆盛(2年)をはじめ、04年の都大路を、一緒に駆け抜けた利府のメンバーが、今回の箱根を5人走った。佐藤匠は「東京にいても、宮城に帰ったときも、学年や大学に関係なく集まる」と話し、互いに今大会への思いを強めていたという。

 佐藤匠は今回が3度目の箱根で、すべて6区を任されただけに「60分を切れば結果がついてくると思った。負けられないと思った」。設定ペースより速かったが、ラストスパートでもしっかりギアチェンジした。「ぐっすり眠れたし、緊張もなかった」と涼しい顔だ。奈良修監督(37)も「佐藤は力がもともとあって、勢いに乗れた」と喜んだ。前日2日の山登りを、いわき総合(福島)出身の東洋大1年生、柏原が制し、下りもみちのくのランナーがトップ。山に強い大東大の復活を、佐藤匠が印象づけた。【山崎安昭】