箱根駅伝で2連覇を達成した東洋大の柏原竜二(2年)に対し、実業団関係者からラブコールが続出した。2年連続で山登りの5区で区間新を出した実力への評価はうなぎ上り。将来のマラソン転向を勧める声も多く、日本長距離界の宝として熱視線が送られた。連覇から一夜明けた4日、柏原はチームメートとともにテレビやイベントに出席し、大会MVPを祝福された。

 箱根駅伝が終わっても、柏原への注目度は下がらない。早朝から日本テレビの3つの番組に出演し、昼すぎには東京・原宿のナイキでトークイベントに出席。「結果を出せて、チームでも優勝できて、うれしく思います」とあいさつし、拍手を浴びた。

 2年連続で5区区間新を樹立した走りは、日本陸上界にインパクトを与えた。卒業後は?

 五輪は?

 マラソンは?

 本人は明確な意思を示さないが、周囲の期待は高まるばかりだ。

 北京五輪マラソン代表の尾方、佐藤を育てた中国電力の坂口監督

 ぜひマラソンで成功してほしい。1人でガンガン走り、根性もある。ウチに来てくれるなら、絶対に見てみたい。

 前マラソン日本記録保持者の藤田が在籍し、09年駅伝日本一の富士通・福島監督

 何十年に1人の選手なので、ぜひ面倒をみてみたい。今後の日本陸上界がどこまで成長するかは、彼に左右されるのではないか。マラソンをやらせたい。

 東洋大・酒井監督が在籍していたコニカミノルタの酒井監督

 今の若い選手の中では、突出して積極性がある。あの上りを見ると、日本人にないものがある。コーチを通じて、世界も意識していると聞いている。

 今年の全日本実業団駅伝を制した日清食品グループの白水監督

 今は箱根に全力を傾けているようなので、今後についてどう考えているのか、もう少し見極めたい。逸材であることは間違いない。

 箱根の5区は、06年から「将来のマラソン選手の育成」という目的もあって、23・4キロに距離が延びた。東洋大の酒井監督は、今年の日本選手権出場を目標に、柏原の1万メートル自己記録28分20秒99をさらに更新する計画が視野にある。将来性豊かな実力は、箱根駅伝の世界だけでは、収まらなくなってきた。【佐々木一郎】