11年1月2、3日に行われる第87回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)の区間エントリーが29日、発表された。

 東洋大や早大だけじゃない。駒大だって、5000メートル13分台で走る選手を史上最多6人もそろえた隠れ優勝候補だ。1、2年中心の若い力がスピードと波に乗れば、3年ぶりの優勝も見えてくる。

 やれ3連覇だ、やれ3冠だと、やたらと「3」の数字が飛び交う今大会だが、3がキーワードなら駒大も負けちゃいない。08年以来3年ぶりの優勝がかかる。もっとも大八木弘明監督は「今回は若いチーム。我慢の年だと思っている。確実に3位以内を狙いに行く」と、別の意味の「3」で、はぐらかした。

 とはいえ、今季の駒大は今までとひと味違う。区間エントリーでは、チーム最速ルーキー油布郁人ら5000メートル13分台の1、2年生を1~4区に並べた。6度の総合優勝を誇る強豪は、過去8度も復路を制し、4度逆転優勝。「逆転の駒沢」の異名は復路の圧倒的な強さから生まれた。だが今年1月は1区で18位と出遅れ、復路で勝っても総合2位にとどまった。そこで大八木監督は「1、2区の流れが大事。今回は出遅れない戦法で行く。往路を2分差以内に抑えたい」と往路重視に方針転換した。

 “史上最速”だからこそできる戦法だ。1万メートル平均タイムこそ2強に劣るが、よりスピードを競う5000メートルでは、16選手中6人が13分台。早大の5人、東洋大の4人を上回り、学生単独チームでは歴代史上最多。その中の1人、3区を務める上野渉(2年)は「今年はスピード中心のレースで5000メートルが多かった。スピードを磨いてきた」。隠れ優勝候補のにおいは十分に漂う。

 今大会は1、2年生が10人と、圧倒的に若返った。全日本後はスピードだけでなく、足りないスタミナも恒例の伊豆大島合宿で鍛えてきた。大八木監督は選手を集めて「お前らは若いチームなんだ。来年につながるために、攻めのレースをしてほしい」と伝えた。出雲で3位、全日本は2位と着実にステップアップし、あとは頂点しか残されていない。逆転の駒大から、攻めの駒大へ。若い力が勢いに乗った時、「3」の争いは駒大の手に落ちる。【取材・構成

 今村健人、塩畑大輔】