<高校ラグビー:春日丘19-19尾道>◇28日◇1回戦◇花園

 春日丘(愛知)が尾道(広島)と大会史上3度目の「2年連続同一カードの引き分け抽選」の末、2回戦進出を決めた。ロスタイムが9分30秒にも及んだ激闘は、シーソーゲーム。昨年度も同じ1回戦で12-12の末に抽選で次戦出場権を譲っており、思わぬ形の“リベンジ”となった。

 体中の力が抜けた。春日丘のCTB菅沼主将が手にした札は「次戦出場権あり」-。「怖かった。すごく勝負弱いんで。『負けるんじゃ…』と思って」。くじ運が悪い。10月の山口国体の時、チーム全員約30人で神社のおみくじを引くと、1人だけ「凶」だった。

 今大会組み合わせ抽選会では予備抽選が出場51校中の49番。本抽選は東ブロックのノーシード校の最終くじとなり、相手は1年前に“抽選負け”した尾道に…。そんな主将が、最高の当たりくじを引き当てた。

 勝ちたかったが、負けなかった。前半に12点リードを追いつかれ、後半15分にNO8姫野のトライで勝ち越したが、同22分に同点を許す。ロスタイムは記録的なロングバウト。タッチを切ればノーサイドの中、FB園木が2度、44メートルのロングPGを狙ったが、いずれもゴールに届かず、試合続行。尾道のカウンター攻撃を自陣22メートルライン付近で園木が止めて、笛が鳴った。ハーフの試合時間30分を、9分30秒も超えていた。

 昨年の悔しさをバネに、自分たちを一から鍛え直してきた。部員個々が責任感を持って強くなるため、部内で「尊敬のジャージー」と称する15項目の役割分担を決めた。菅沼主将を筆頭に、3年部員20人が「戦略研究」から「荷物管理」「ゴミ掃除」「トイレ掃除」…。いろんな責任者になって、下級生を引っ張った。

 次戦はBシードで昨年度覇者・桐蔭学園(神奈川)。「尾道さんの分、愛知の他校の分、全部背負って堂々と戦います」と宮地真監督(46)。2年連続2度目の花園。今度こそ試合で初勝利をつかむつもりだ。【加藤裕一】

 ◆引き分け抽選

 同スコアは記録上は「引き分け」。次戦出場権はトライ数の多いチームが得る。トライ数が同じ場合が抽選となる。引き分け抽選はこの日の2試合で通算69試合。決勝戦は同スコアなら両校優勝。

 ◆大会史上3度目の珍事

 「同一カードの2年連続引き分け抽選」は慶応-北見北斗(1956年度2回戦9-9、57年度2回戦3-3=いずれも抽選で慶応)佐賀工-茗渓学園(07年度3回戦10-10、08年度3回戦7-7=いずれも抽選で佐賀工)に続き、3年ぶり3度目。