活路はハイパントにあり!

 全国高校ラグビー・南北海道代表の札幌山の手が今日30日の2回戦でBシードの黒沢尻工(岩手)に挑戦する。初の2回戦突破の秘策としてSH藤野秀平(3年)SO鈴木陸(1年)を中心としたハイパント攻撃を準備した。道勢は79年度大会からシード校相手に26連敗中。初撃破へキック&ラッシュで相手をかく乱し、勝機を見いだす。

 キックでシード校を攻略する。試合前日の29日、5年連続で2回戦に臨む札幌山の手は大阪市内のグラウンドで約2時間、練習を行った。その大半を費やしたのはハイパント。佐藤幹夫監督(50)は「向こうは高校日本代表候補のバックスがいる。ディフェンスに出てくるのも速い。普通では対抗できない」と狙いを明かした。

 「赤べこ軍団」と称される古豪、黒沢尻工は強力FWが伝統。それに加え、今年は高校日本代表候補の佐々木裕次郎、掘田隼平の両CTBとスピードのあるFB小笠原健太(ともに3年)がおり、どこからでも得点を狙える。実際、11月の東北遠征で対戦し、0-19と3トライされ完敗した。

 難敵相手にターンオーバー後のカウンターという札幌山の手得意の攻撃だけでは勝機は薄い。そこでハイパントを多用し、密集からサイドを突いてトライに結びつける戦法を主軸に据える。SO鈴木は「こちらのセンター陣が競れるように高いボールをピンポイントで落とせるようにしたい」。全体練習後も約30分、1人で居残り練習したSH藤野は「相手のCTBを前に出させないように蹴ることが肝心」と試合のキーポイントを話した。自らのスタイルを変えてまで勝利にかけている。

 チームは今年春から本格的に体づくりに取り組んできた。北海道医薬総合研究所とタイアップし、選手の首周り、胸囲、腕、太ももなど各部位を1カ月ごとに計測しデータ化。同研究所の栄養士から数値を元に指導を受けた。HO佐藤諒太主将(3年)は「数字で見ると自分の足りないところが理解しやすい。意識してトレーニングできます」と言う。きつい練習にも耐え、以前より走れるようになるなどの成果があった。

 70年度のシード制導入から道勢は1度もシード校に勝っていない。何度も跳ね返されてきた高い壁を札幌山の手が今年こそ越える。【黒川智章】