<高校ラグビー:黒沢尻工27-15札幌山の手>◇30日◇2回戦◇花園

 東北勢唯一のシード校、黒沢尻工(岩手)が札幌山の手(南北海道)を下し、初戦を突破した。後半27分、WTB軽石智也(3年)が40メートル独走トライ。FW戦で劣勢を強いられる中、元プロ野球選手の祖父を持つトライゲッターが、追いすがる相手に引導を渡した。3回戦は、元日に行われる。

 ノーサイドの笛が鳴ると、黒沢尻工の選手が浮かない表情でグラウンドを引き揚げた。後半8分に勝ち越したが、セーフティーリードを得られない。その後は、自陣インゴール前にくぎ付けになる時間が続いた。原因は、県予選から課題のボール争奪戦だった。高橋智也監督(37)は「FWは迫力不足」と渋い表情。「シード校の初戦」という難しさを差し引いても、納得いく内容ではなかった。

 前半からFWは劣勢。後半は、自慢のBK陣で仕掛けた。高校日本代表候補のCTB堀田隼平、佐々木裕次郎(ともに3年)らに攻撃を託した。そして20-15の同27分。堀田からパスを受けたWTB軽石が、左サイドを疾走。強烈な逆風をものともせず、40メートル先のインゴールを陥れた。

 勝負強さはDNAに刻まれていた。祖父青山裕治さん(78)は、大毎などで6勝を挙げた元プロ野球選手。軽石も中学までは俊足の1番打者だったが、棒高跳びで東北大会に出場した瞬発力を生かし、ラグビーに転向。点取り屋として、2年時からレギュラーの座をつかんだ。前半30分には自らのミスでトライを献上していただけに「借りを返したかったので、ホッとした」。やられたらやり返す-。厳しい世界で生きてきた祖父のように、プレーで示した。

 東北勢唯一の3回戦進出。高橋監督は「最後のとりでとして、勝ちたい」と決意をにじませた。元日は、東北勢では03年度大会の仙台育英以来となる8強入りをかけ、御所実(奈良)と対戦する。岩手に、少しでも多くの明るい話題を届けたい-。12年初戦、全力で勝利を奪い取る。【今井恵太】