<高校ラグビー:御所実48-17茗渓学園◇5日◇準決勝◇花園

 御所実(奈良)が、4大会ぶり2度目の決勝に進出した。茗渓学園(茨城)を圧倒した。スタメン唯一の1年生WTB竹山晃暉のトライなどで主導権を握り、大勝した。明日7日の決勝で常翔学園(大阪第1)との関西対決を制し、悲願の初Vをつかむ。

 スーパー1年生が、試合の流れをグッと引き寄せた。WTB竹山は前半13分、SO福沢の背後を必死で追った。先輩がつないだボールをつかんで、左中間にトライ。「ボールが回ってきて、理想のトライだった」。10-0とリードを広げて主導権を握った。準々決勝でV候補東福岡を破った茗渓学園を圧倒。自慢のFW陣に加え、BK陣も自在に走り回って、4大会ぶり2度目の決勝進出を決めた。

 竹山は、スタメン唯一の1年生。父和彦さん(40)は大相撲で星鶴王(ほしかくおう)のしこ名で、最高位は幕下22枚目で引退した元力士だ。3歳のころに「男のスポーツはラグビーだ」という父の教えで競技を始めた。激しいコンタクトプレーが、格闘家のDNAを受け継ぐ少年をとりこにした。中学時代は奈良県選抜の主将として全国ジュニアラグビー大会で優勝。そして昨年1月5日、御所実が東海大仰星(大阪第3)に2点差で敗れた準決勝を観戦した。「僕が御所実に入って、1年生から3連覇をする」。怖いもの知らずの16歳が夢に近づいた。

 竹山のような逸材が集まるまで、20年以上がかかった。竹田監督は89年に同校に赴任。ラグビー部の部員は2人だった。新入生を入部させることが最初の仕事だった。人数がそろうと、強くするために低年齢層からの一貫指導を理想とした。教え子が大学を卒業して教師として奈良に戻る。小中学校のラグビーを盛り上げて、指導した。サッカーのJリーグ下部組織に似たピラミッド型の育成システムが、最近5大会で4強進出3度の好成績を支える。

 竹田監督は、決勝進出を決めて「去年のチームを超えることを目標にやってきた」と口にした。準決勝で敗れた前回大会、当時の主将だった四男・祐将(現筑波大ラグビー部)から「ゆうしょう、という名前をもらったのにごめん」と言われた。それから1年。悲願の初優勝をつかみ、御所実の名を刻む。【益田一弘】

 ◆竹山晃暉(たけやま・こうき)1996年(平8)9月25日、奈良県生まれ。広陵少年ラグビースクールで競技に親しみ、河合第2中学校時代はFBだった。憧れの選手はニュージーランド代表SOダン・カーター。175センチ、75キロ。