<高校総体:サッカー・東海大四2-1高川学園>◇28日◇秋田・OGAマリンパーク球技場

 初出場の東海大四(北海道第2)が1回戦で高川学園(山口)に逆転勝ちし、全国初勝利を挙げた。先制点を許したが、FW綿引俊哉(3年)の2得点で、05年全国選手権4強の伝統校を撃破。68年創部以来、初の全国出場で1勝を挙げた。

 試合終了のホイッスルが鳴ると東海大四イレブンは、喜びをかみしめるように仲間とハイタッチした。最後まで思い通りの試合に、選手たちの充実した表情が並んだ。石塚公二監督(33)は「よくボールを動かせた。いつも通り自分たちのサッカーができた」と全国初勝利の喜びに浸った。

 前半7分に1点を先制されても焦りはなかった。同15分にペナルティーエリア内でFW綿引が倒されPKを獲得。綿引が左隅に落ち着いて決めた。同20分には、またしても綿引が中盤で相手DFからボールを奪い独走。最後はGKをかわし決勝点のゴール。「うれしいです。緊張は特になかった」と振り返った。

 指揮官に最高のプレゼントになった。同校OBで高校総体優勝3度の名門バレーボール部出身の石塚監督は、前日27日が誕生日だった。選手たちはサプライズでお祝いし、さらに勝利することを約束していた。石塚監督は「最高のプレゼントになりました」と選手たちに感謝した。

 思いは1つだった。石塚監督とともにチームを指導する稲辺史郎コーチ(34)は仙台大の出身。3月11日の東日本大震災では知人も被災した。24日から岩手県内で直前合宿を行った東海大四イレブンは、26日に被害の大きかった岩手・陸前高田市を訪れ、がれきの山となった風景の中で1分間の黙とうをささげた。

 DF浅野遼主将(3年)は「正直言葉が出なかった。みんな周りを見ているだけだった」と話す。被災者を思いやり、あらためてサッカーができる環境に感謝して大会に出場。Jリーガーも輩出する全国常連校の高川学園相手にも、結束力で負けなかった。浅野主将は「課題もあったので次はしっかり修正して、8強を目指したい」。今日29日の2回戦は四日市中央工(三重)と対戦。初の全国で快進撃を目指す。【石井克】