<高校総体:サッカー・静岡学園1-1(4PK2)滝川二>◇29日◇秋田・仁賀保グリーンフィールド◇2回戦

 全員で死闘を制した。2年連続2回目出場の静岡学園(静岡)が前年度準優勝、全国選手権覇者の強豪・滝川二(兵庫)をPK戦で下し、3回戦進出を決めた。1点を追う前半24分にFW野田侑成(3年)が同点ゴールを決め、ゲーム主将のGK福島春樹(3年)がPK2本を止める活躍を見せ、強豪を退けた。

 福島がゴール前でほえた。1本目。右に思い切り飛び、両手ではじき返した。先制パンチを食らわすと、続く2本目もためらいなく左に飛んでシャットアウト。DF伊東幸敏(3年)からキャプテンマークを預かる「主将」のビッグセーブで流れをつかむと、キッカー4人全員がきっちり決めた。「幸敏たちも必死にみんなをサポートしてくれている。主将を任されている以上、自分がやらなきゃと思った」。険しかった表情をくしゃくしゃにして、駆け寄るイレブンとグラウンドを駆け回った。

 試合後、川口修監督(38)は「1つの大きな山を乗り越えた。この厳しい試合の中でつかんだ1勝は、選手の大きな経験と自信になる」。試合巧者は滝川二だった。前半14分に右サイドをドリブル突破され、先制点を許した。その後も何度も決定機をつくられ、シュートは倍の14本も打たれた。

 それでも全員で粘って、踏ん張った。右サイドを駆け上がったDF手塚朋克(1年)のクロスをFW野田侑成(3年)が決め、前半のうちに追いついた。DF木本泰生(3年)望月大知(2年)は、GK福島がかわされて打たれたシュートを3度、土壇場ではね返した。体を投げ出し、最後まで2失点目を死守した。

 PK戦までもつれた死闘は、想像以上に選手に疲労を残した。木本は「体も疲れたけど、1点もやれない緊迫した状況に精神的にも疲れた」。続く海星との3回戦は、3連戦目。初出場した昨年は連戦の疲労から足が止まり、ここで敗れた。指揮官は「できるだけの準備をして、まずは去年のチームを超えたい」。福島も「去年を超えなければ来た意味がない」と言った。県勢9年ぶりの8強を懸けた一戦で、静学の進化が問われる。【前田和哉】